学園最強の兄は妹を溺愛する

「俺のことも、忘れないでくれ」


 そして、何事もなかったかのようにわたしの手を取り、出口へと歩きはじめる蒼真さん。


 そ、蒼真さん。今、そんなことをされたらわたし、お兄様と顔を合わせられなくなってしまいます……!


「おーい、蒼真、どうし……おい、てめえ。まさか彩智に……」

 お兄様の怒りに震える声が聞こえる。


「彩智にしていいのは、俺だけだ」

 蒼真さんが、さっきの仕返しとばかりにお兄様に淡々と言い返す。


「なっ……」

 絶句したお兄様が固まっている。


「ほら、なにしてるのヨースケ、早く行きましょ」

 そんなお兄様の腕を取って、アリサさんがぐいぐい引っ張っていく。


「そ……、さ……、ぐぬぬぬぬ……彩智のこと、幸せにしなかったらぜってー許さねえからなーーーーっ!!!!」


 お兄様の悲痛な叫び声が、ニューヨークの真っ青な空に響き渡った。



(了)