学園最強の兄は妹を溺愛する

「こら、アリサ。日本ではあいさつでハグはしないの。彩智が怖がってるでしょ? 彩智にハグしていいのは俺だけって決まってんだから」

 そう言いながら、お兄様がアリサさんをわたしから引き剥がしてくれる。


「……おまえもダメに決まってるだろうが」

 隣で蒼真さんが不機嫌そうな声でつぶやくのが聞こえる。


「ごめんね、サチ。ずっとヨースケに聞いてたサチにやっと会えたのがうれしくって、ついコーフンしちゃって」

 アリサさんが、肩をすくめて見せる。


 お兄様のお友だちだっておっしゃっていましたが……。

 ひょっとして、お兄様の彼女さん……なのでしょうか?


「彩智。アリサは、本当にただの友だちだから」

 わたしの思考を先回りしたかのように、お兄様が言う。


 けど、本当にただのお友だちが、こんなところまで付き合ってくれるのでしょうか……。

 なんて、わたしがこんなことを考えても仕方ないですよね。


「お兄様たちは、このあとどのようなご予定なのですか?」

「夕方のフライトまでそのへんブラブラして、夜には寮に帰る予定だよ」

「でしたら、わたしたちと同じですね! もしよろしければ、ご一緒にいかがですか? あ……でも、お兄様はアリサさんと二人きりの方がよろしいですよね! すみません、勝手なことを言って」

「ヨースケ、サチがこう言ってくれてるんだし、ねえ、一緒に行きましょ」

 アリサさんが、うれしそうにお兄様の腕に抱きつく。


 お兄様は、ちょっと困った顔をしながらも、そんなアリサさんを邪険に突き放すことなく、されるがままだ。