パタン。
ホテルの方に案内していただき、わたしたちは客室へと入った。
外部の音が完全に遮断され、しんと静まり返った空間に、蒼真さんとわたし、二人きり。
「なにかあれば、里見さんが隣の部屋にいるから。——明日の観光に備えて、今日は早く寝よう」
「そ、そうですね」
返事をする声が、わずかに上ずってしまう。
部屋の中には、大きなベッドがふたつ。
「……すまない。このような部屋割りになってしまって。彩智を一人にはできないが、さすがに里見さんと同じ部屋というのも……」
「わ、わたしは蒼真さんとずっと一緒にいられてうれしいですよ?」
申し訳なさそうな表情を浮かべる蒼真さんを安心させようとそう言った瞬間、蒼真さんが手に持っていたスマホをゴトッと床に落とした。
「……って、いえっ、そうでなくて……そ、そうなんですけど、あの……」
「わかってる。大丈夫だ。……彩智には指一本触れるつもりはないから、安心してくれ」
そう言いながらスマホを拾うと、わたしの方をまったく見ずに窓際へと歩いていく。
「…………はい」
わたし、なにか間違えてしまったのでしょうか。
「長旅で疲れているだろう。先にシャワーを使って、眠るといい」
蒼真さんが、淡々とした声で言う。
「そう……ですね。そうさせていただきます」
ホテルの方に案内していただき、わたしたちは客室へと入った。
外部の音が完全に遮断され、しんと静まり返った空間に、蒼真さんとわたし、二人きり。
「なにかあれば、里見さんが隣の部屋にいるから。——明日の観光に備えて、今日は早く寝よう」
「そ、そうですね」
返事をする声が、わずかに上ずってしまう。
部屋の中には、大きなベッドがふたつ。
「……すまない。このような部屋割りになってしまって。彩智を一人にはできないが、さすがに里見さんと同じ部屋というのも……」
「わ、わたしは蒼真さんとずっと一緒にいられてうれしいですよ?」
申し訳なさそうな表情を浮かべる蒼真さんを安心させようとそう言った瞬間、蒼真さんが手に持っていたスマホをゴトッと床に落とした。
「……って、いえっ、そうでなくて……そ、そうなんですけど、あの……」
「わかってる。大丈夫だ。……彩智には指一本触れるつもりはないから、安心してくれ」
そう言いながらスマホを拾うと、わたしの方をまったく見ずに窓際へと歩いていく。
「…………はい」
わたし、なにか間違えてしまったのでしょうか。
「長旅で疲れているだろう。先にシャワーを使って、眠るといい」
蒼真さんが、淡々とした声で言う。
「そう……ですね。そうさせていただきます」



