学園最強の兄は妹を溺愛する


「え、ちょ、あのっ、蒼真さん……!」

 わたしの手を引く蒼真さんが、歩きながらわたしの方を振り向き、唇に人差し指を当てる。


 それは……お兄様にはヒミツ、ということですか?


 うしろを振り返ってみたけれど、すでにお兄様の姿が見えないところまで来てしまったみたい。

 お兄様、わたしたちがはぐれたんじゃないかって、きっと心配していらっしゃいますよね?


「……蒼真さん!」

 もう一度さっきよりも大きな声で呼びかけると、蒼真さんはぴたりと足を止めた。


「……すまない」

 前を向いたまま、蒼真さんが右手で顔を覆う。

「どうしても彩智と二人きりになりたくて、少々暴走してしまった」

「え……」


 まさか、蒼真さんがそんなふうに思っていてくださったなんて。

 ……わたしだけじゃなかったなんて。


 ぎゅっと胸元を握り締め、改めて顔を上げて蒼真さんを見る。

 そのとき、蒼真さんのスマホの着信音が鳴り、蒼真さんがポケットからスマホを取り出した。


「……大丈夫。どうやらアイツの許可も得られたみたいだ」

 スマホの画面を見ながら、蒼真さんが口元に笑みを浮かべている。


 今の着信音、きっとお兄様からメッセージが届いたのですね。