学園最強の兄は妹を溺愛する

 アリサとは、大学に入学してから知り合った。

 大学入学と同時に起業して、会社経営をしつつうちの大学で経営の勉強をしているようなヤツも普通にゴロゴロいるが、アリサもそんなバケモンのうちの一人だ。


 サバサバした性格で、自立した女。

 母親が日本人で、多少の日本語は話せるが、日本では会ったことのないタイプで、なんとなく興味をひかれる。

 大らかというか、包容力のある女と表現すべきか。

 俺に庇護を求め言い寄ってくる日本の女とはまったく違い、自立した一人の人間として、尊敬もできる。


 超が付くほどのシスコンの俺を、笑いながらも、バカにはしない。

 今日だって、親友に妹を拉致られた俺を慰める会を開いてくれるっていうんだから、本当にお人好しだなと思う。


「おっと、危ね。忘れるとこだった」

 途中で立ち止まり、メッセージアプリの蒼真のアカウントを開くと、手早く打ち込む。


『彩智から一瞬でも目を離したら許さねえからな。必ず無事に連れて帰れ。それから、彩智に指一本でも触れたらコロす』


 好き同士の男と女が一晩一緒にいたら、なにが起こったっておかしくはない。

 矛盾したことを言ってるってのは、百も承知だ。

 だが、これ以外に言いようがないのも事実だろ?

 なんだかんだ言って、俺はアイツを信じてるから。


「ふぅーー」

 スマホをおでこに押し当て大きく息を吐くと、俺はターミナルビルを出た。