学園最強の兄は妹を溺愛する

「俺が気づいてないと思うなよ、ったく」

 彩智がアメリカに遊びに来ると決まってから、ずっとコソコソ準備していたことくらい、知ってたっつーの。


 ポケットからスマホを取り出すと、ためらいなく通話ボタンを押す。


「Hello?」

『Hi! ヨースケ、大丈夫?』

「ああ、大丈夫だよ。全然ヨユー。アリサは、今どこ?」

『まだ寮よ』

「そっか。なら、一時間後にいつもの店な」

『OK。……ヨースケ、ホントにサチ追いかけなくていーの?』

「だから全然ヨユーだって。それに、妹と親友にフラれた俺のこと、アリサが慰めてくれるんだろ?」

『アタシでよければ、そのくらいいくらでも付き合うけど。でも、そこまでわかってて、どうして空港まで行ったのよ?』

「そりゃあ、一目でいいから彩智に会いたかったからに決まってるだろ」

 俺がそう言うと、スマホの向こう側でくすりと笑う声が聞こえる。

『ホント、愛されてるわね、サチ』

「だろ? そんじゃ、またあとでな」


 通話を切ると、ターミナルビルの出口へと向かって歩いていく。