学園最強の兄は妹を溺愛する

「お兄様……ちょっとお痩せになったみたいですが、ちゃんとお食事取っていらっしゃいますか?」

 俺の方に向き直った彩智が、心配そうな表情を浮かべる。


「大丈夫だよ。こっちはどこに行っても日本よりハイカロリーな食事ばかりだからね。むしろ太らないように必死だよ」

 彩智を心配させないよう、にこりと笑って返す。


 彩智がアメリカに遊びに来るのに合わせて休めるよう、課題を前倒しでこなしたせいか?

 そういや数日前に、蒼真にも言われたっけか。

「ちゃんと食え。さすがに倒れるぞ」って。

 そういうとこ、蒼真も彩智も、ちゃんと見てんだよな。


 そんな二人だからこそ……幸せになってほしいと、心から思ってる。

 ……ウソじゃないからな。ちゃんと思ってるんだからな。


「そんじゃ、さっそく観光にでも行くかー。いや、その前に腹ごしらえか?」


 俺も蒼真も、こっちに来てからずっと大学と寮を往復するだけの生活で、観光なんて一切する時間がなかったからな。

 俺も、今日の観光を密かに楽しみにしていたところはある。


 二人に背を向け、先頭を切って歩きながら、二人に話しかける。

「蒼真、昼飯はいつもんとこでいいよな? 俺らの行きつけの店、結構ウマいから、彩智も楽しみに……」

 そう言いながら振り返り、誰もついてきていないことを確認すると、はぁー、と小さくため息を吐く。


 ……せめて飯くらい彩智と食わせろよ。