蒼真さんだけでなく、お兄様までいなくなってしまうの?

 わたし一人で……あの学園を……。


 不安がむくむくと湧いてきて、胸の前でぎゅっと両手を握り締める。


「なんだ、一人ではやはり無理だというのか。ならば——」
「ま、待ってください!」


 流星学園には、自宅にいるときとはまったく違う、楽しそうなお兄様がいた。

 莉乃さんという新しいお友だちができて、蒼真さんとも出会うことができた。


 流星学園は、すでにわたしにとって、とても大切な居場所だ。


「わたし一人でも、必ずやり遂げます」

 お父様を真正面からしっかりと見据えると、キッパリとそう言い切った。


「わかった。がんばりなさい」

「はい。ありがとうございます」

 
 今までずっとお兄様が継ぐものだとばかり思っていたはずなのに。

 お父様の前で宣言したら、なんだか胸がすーっとした。


 とても不思議な感覚だったのだけれど、なんていうか……本当の自分を見つけたような気がする。