いつでもまっすぐな瞳で、揺るぎない強さがある。

 だからこちらも思わず心を動かされる。


 ただのか弱いお嬢様だと思っていたのに。今までの人生の中で、一番の想定外だ。


 彩智と何年もの間離れるのは身が引き裂かれるほどツラいが、それと同時に、彩智にふさわしい人間でいるために必要なことならば、なんでもやる覚悟もできた。

 彩智の隣は、絶対に誰にも譲らない。

 たとえライバルが、アイツだったとしても。


 
 そうそう。留学の件を親に打診したときの驚いた顔は、今でも忘れない。

 クソいい気味だ。


 いまだに親の敷いたレール上を走っているには違いないが、俺なりに自由に足掻いてやるさ。

「いいんじゃね?」と笑って背中を押してくれるヤツも、ありがたいことに俺のすぐそばにいるからな。