「なあ蒼真。おまえさあ、なんでこんなクズ校に来たわけ? 頭いーのに。俺の次くらいには」


 入学早々、俺はアイツに見下ろされた。文字通り。


 一瞬なにが起こったかわからないくらいだったが、俺は地面に大の字に寝そべっていて、そんな俺をニヤニヤしながらアイツは見下ろしていた。


「ソックリそのまま返してやるよ、御曹司」

「ははっ。うちの顧問弁護士の息子にしか言えないセリフだな」


 陽介の学園改革を手伝ってこいと。

 口に出して親にそう言われたわけではなかったが、まあ、そういうことだったんだろう。


 俺としては、自分で選んだ道のつもりだったが、結局は親の敷いたレールから外れることができずにいたんだ。


 それでも、アイツといるときは、まあこれでもいいかと思えた。

 親の敷いたレールの上で楽しそうに自由にやっているアイツを見て、ああ、こういうやり方もあるんだなと、新しい発見もできた。

 それに、上に立つ才能を持ったヤツっていうのは、こういうヤツなんだろうなと、素直に受け入れることもできた。


「俺には本当は人の上に立つ才能なんてないんだよね。本当にそういう才能のあるヤツっていうのは、なんていうか、こう、自然と人の心を動かすようなヤツなんだよ」


 たびたびアイツはそう言っていたが、俺に言わせれば、おまえ自身もそうじゃないかと何度ツッコもうと思ったことかしれない。