学園最強の兄は妹を溺愛する

 最低でも五年もアメリカへ行ってしまうのですよね?

 長ければ七年……ううん、一度アメリカへ行ってしまったら、そのままもう日本へは戻りたくないと思うかもしれない。

 もしもそうなってしまったら……二度と蒼真さんには会えない……?

 そんなの……。


「イヤです!」
「日本へ戻ってきたら——そのときは、俺と結婚してくれないか?」


「……へ?」


 ちょっと待って。

 蒼真さん、今、なんて言ったの?


「俺と、結婚してほしい。彩智のこれからを、一番近くで俺に支えさせてほしい」

「なにを言って……だって、わたしたち別に……」


 付き合ったりしてるわけでもないのに。


「蒼真さんは、わたしのこと……」


 どう思っているの?


 一番の友人であるお兄様の妹で、ご両親が顧問弁護士をなさっている企業の娘で。

 だから大事にしなきゃって思っているだけなんじゃないの?

 それを恋愛感情と勘違いしているだけなんじゃないの?


 そんなことを考えていたら、じわっと涙が滲んできた。


「うまくは言えないが……彩智のことは、愛おしい存在だと思っている」

 蒼真さんが、真正面からわたしの瞳をじっと見つめてくる。