「御門社長! これはいったいどういうことですか? 話が違うじゃないですか」
一人の大柄な白髪交じりの男性が静寂を破り、ステージに向かって大股で近づいていく。
「ちょっと、お父様。お待ちになって」
隣でその男性を必死に止めようとしているのは、麗華さんだ。
「御社の跡取りだというから、大事な娘の婿にと思ったが……御門社長。申し訳ないが、今回の話はなかったことにしていただきたい」
「お父様⁉ 待ってください! そんなこと、わたくしは構いませんわ。だってわたくしは、本気で陽介さんのことが——」
「麗華。これは大人の話だ。子どもが入ってくるんじゃない」
「そんな……」
麗華さんの顔に絶望の色が現れる。
そっか。……そうだったんだ。
自分が跡取りを辞退すれば、こうなることがわかっていたからこそ、お兄様は婚約を解消してほしいと、麗華さんにお願いしていたんだ。
この華やかな場で、彼女が傷つかないようにするために。
その後、収拾のつかなくなった創立記念パーティーはそのままお開きとなり——お兄様はそのまま自宅謹慎処分がお父様から言い渡された。
一人の大柄な白髪交じりの男性が静寂を破り、ステージに向かって大股で近づいていく。
「ちょっと、お父様。お待ちになって」
隣でその男性を必死に止めようとしているのは、麗華さんだ。
「御社の跡取りだというから、大事な娘の婿にと思ったが……御門社長。申し訳ないが、今回の話はなかったことにしていただきたい」
「お父様⁉ 待ってください! そんなこと、わたくしは構いませんわ。だってわたくしは、本気で陽介さんのことが——」
「麗華。これは大人の話だ。子どもが入ってくるんじゃない」
「そんな……」
麗華さんの顔に絶望の色が現れる。
そっか。……そうだったんだ。
自分が跡取りを辞退すれば、こうなることがわかっていたからこそ、お兄様は婚約を解消してほしいと、麗華さんにお願いしていたんだ。
この華やかな場で、彼女が傷つかないようにするために。
その後、収拾のつかなくなった創立記念パーティーはそのままお開きとなり——お兄様はそのまま自宅謹慎処分がお父様から言い渡された。



