学園最強の兄は妹を溺愛する

 ムリもないわ。

 お兄様が進学するようお父様に言われた高校は、このあたりに住む人なら誰もが知っているほどの荒れ果てたヤンキー校だったのだから。


「一年か。……いいだろう」

 お父様は、不敵な笑みを一瞬口元に浮かべた。


 このとき、きっとお父様はそんなこと絶対に不可能だって思ったに違いない。


「ありがとうございます。必ずやり遂げてみせます」


 深々とお父様に頭を下げると、わたしの方を見て、お兄様はいつものように柔らかい笑みを浮かべたの。

『大丈夫。彩智はなにも心配することはないよ』って言ってくれているみたいだった。



 そしてお兄様は、高校入学と同時に当時のトップを引きずり下ろし、一年生にして学園の頂点に君臨することとなったの。


『トップの言うことが絶対』


 これは、お兄様が入学する前から学園で唯一守られてきたしきたりだ。


 学園のトップである生徒会長に就任したお兄様は、それまではラクガキだらけ、タバコの吸い殻だらけ、授業中でもおかまいなく乱闘がはじまるような状況の学園で、それらを一切禁止した。


 普通なら、そんなふうに一方的に禁止されれば、反発が起き、余計に荒れるところだろうけど。

 その代わり、放課後のイベントとして、観客を集めてのタイマン勝負を開催するようになったんですって。


 もちろん当初はみんな、お兄様を倒そうと躍起になった。

 だって、勝てば学園を自分の好きなようにできるのだから。

 
 だからお兄様は、最初の頃は毎日のように誰かとケンカをしていたみたいなんだけど。