学園最強の兄は妹を溺愛する

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 頭上のシャンデリアからあたたかい光がキラキラと降り注ぎ、招待客の色とりどりのドレスが、立食パーティーの会場内をより華やかに演出している。


「清水専務。先日は、大変お世話になりました」

「おお、君か。いや、こちらこそだよ。今後ともよろしく」


「神田社長。ご無沙汰しております。その後、旦那様のお加減はいかがですか?」

「ありがとう、陽介くん。もうすっかり元気になって、今日は友人とゴルフに行っているのよ」

「そうですか。それはよかったですね」


 あちこちのテーブルに、にこやかな笑みを浮かべ挨拶して回るお兄様。

 メモなど一切見ず、全員の名前と顔を覚えているみたい。

 ただでさえ人の顔を覚えるのが苦手なわたしには、到底マネできそうもない。


「あら、今日は素敵なお嬢さんと一緒なのね」

 神田社長の視線が、隣に立つわたしへと向き、一瞬動揺する。

「妹の彩智です」

 わたしのことを紹介しながら、『大丈夫だよ』とでも言うように、わたしの背にそっと手を添えてくれる。


 わたしがぎこちなく頭を下げると、神田社長が驚いたような顔をした。


「そう。陽介くんから、たまに話は聞いていたけれど。完全に見違えたわ。たしか前に会ったのは、十年前の周年記念パーティーのときだったかしら。あの頃はあんなに小さかったのに。……お母様に、目許が本当にソックリだわ」


 神田社長のお言葉に、思わずじわっと涙が滲む。

 零れ落ちないように必死に堪えると、わたしは神田社長に向かってニコッとほほえんで見せた。