「大丈夫ですよ、麗華さん! わたしも麗華さんの恋を応援します。今日お会いして、とってもステキな方だって、わたし、確信しました。わたしも、お兄様と麗華さんに幸せになっていただきたいです」

「彩智さん……本当に? うれしい……ありがとう」

 麗華さんが、再び大きな瞳に涙を浮かべた。


「実はわたくし、ヒドイウワサ話を耳にしてしまって……。陽介さんは、妹さんを心から愛していらっしゃるから、わたくしとは結婚する気がないのだと。そんなの、ウソですよね? だって、彩智さんが味方してくださるって約束してくださったんですもの」

「え……っと……も、もちろんです! 実はわたし……今、好きな人がいるんです」

 そう言ってしまってから、ハッと我に返る。


 え、わたし、なに言って……。


 ……ああ、そっか。わたし、好きだったんだ。

 今、やっと自分の気持ちがハッキリした。


 わたし、蒼真さんのことが、好きなんだ。


「えぇっ⁉ そうなの⁉ 同じ学校の方かしら?」

「はい。同じ学校で……兄の一番の友人です」


 ずっとモヤモヤしていた気持ちがハッキリしたのと同時に、こんな話をすることになるなんて。

 名前を言ったわけでもないのに、かぁっと顔がアツくなったのがわかる。


「そうなのね! でしたら、わたくしも彩智さんの恋を精一杯応援しますわ」

 わたしの話を聞いていた麗華さんが、ホッと胸をなでおろしたのがわかった。


 麗華さんも、きっとわたしと同じなのですよね。

 お兄様に、本気で恋をなさっている。


 ……わたしも、麗華さんの応援をしてさしあげなくっちゃ。