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「はじめまして。彩智さんでいらっしゃいますよね?」


 翌日の放課後、校門を出ようとしたところで見慣れない制服姿の女性に声をかけられ、わたしは足を止めた。


 この方は……。


「伊集院様、本日はどうなさいましたか?」

 わたしを迎えにきていた里見さんの声に、ハッとする。


「ひょっとして、お兄様の……」

「あら、わたくしのこと、ご存知でいらっしゃったのね。うれしいわ」

 伊集院さんが、鈴を転がしたような笑い声を立てる。


「お兄様は、本日所用があるとのことで、まだ学校内に残っていらっしゃいますが」

「ええ、大丈夫よ。本日はわたくし、彩智さんにお会いしたくてこちらへ伺ったんですもの」


 わたしに? いったいなんの用なんだろう?


「少し場所を移してお話する時間はございます?」