学園最強の兄は妹を溺愛する

「蒼真さん!」

 前から歩いてくる蒼真さんに駆け寄ると、はぁはぁと呼吸を整える。


「どうした。俺に用だったのか?」

「あのっ、おに、おに……」

「おに? 鬼がどうかしたのか?」

 首をかしげる蒼真さんに向かって、ぶんぶんと首を横に振る。

「おに……お兄様が、女性の方とお二人で……!」


 この学園のセーラー服を着た女性だった。遠目だけれど、間違いない。

 校門前に迎えにきていた車に、その女性とお兄様が一緒に乗り込むのを目撃してしまったの。

 しかも、お兄様がその方を優しくエスコートしているようだった。


 あの方は、いったい誰?

 お兄様とのご関係は?


 聞きたいことはたくさんあるのに、頭がパニック状態で、言葉にならない。


「ああ、さっきの女か。取引先の社長令嬢だそうだ。この学園の生徒ではないが、陽介を訪ねるために、わざわざあの制服を手に入れたらしい」

 そう言いながら、蒼真さんが苦笑いを浮かべる。


「自宅まで送り届けると言っていた。この前のこともあるし、こんな学園にお嬢様を野放しにしておくわけにもいかないからな」

「そうですか。お仕事関係の方だったのですね」