学園最強の兄は妹を溺愛する

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「お兄様、今日は勝手なことをしてしまって、本当に申し訳ありませんでした」

 帰りの車の中で、わたしは改めてお兄様に謝罪した。


 わたしが勝手に大事にして、穏便に済ませたいというお兄様の気持ちを踏みにじってしまった。

 学園内で問題が起こっていたことをお父様に知られてしまって、お兄様の評価も下がってしまったかもしれない。


「いや。裏門からの襲撃が失敗に終わった場合、グラウンドにたむろしていたヤツらがどう動くかが未知数だったからな。彩智があらかじめそいつらに注意の目を向けさせてくれたおかげで、逆にうちの血の気の多いヤツらを制止することができて、ムダな乱闘を起こさずに済んだ。全部彩智のおかげだよ。ありがとう」

「あの、お父様とは……」

「うん、まあ、大丈夫だよ、きっと。学園は守られたわけだし、体育祭も全日程を無事終了することができたからね」


 閉会式が終わるとすぐ、お父様は難しい顔をしたまま、わたしたちとはひと言も言葉を交わすことなく、学校をあとにしたの。

 お父様は今日のこと、どう思われたかしら……。

 お兄様ががんばってらっしゃるから、学園の平和は守られたって、ちゃんとわかってくださっているといいのだけれど。