今日は、私立流星学園高校の入学式。

 中学はブレザーだったから、実はセーラー服に憧れていたの。

 襟と袖口に淡いピンク色の三本線が入っていて、胸元には同じピンク色のリボン。


「ありがとう、里見さん」

「いってらっしゃいませ、彩智様」


 執事の里見さんの運転する車から降り、校門を一歩入ると、周囲でおしゃべり中の方々の視線が、一気にわたし御門(みかど)彩智(さち)に集まった。


「おい、見ろよ。女子だぞ、女子」

「しかも、なにげにかわいくね?」


 その中の一人が、ゆっくりとわたしに近づいてくる。


「ねえ君、なんでこんな女子がほとんどいないようなヤンキー校に入ったの?」


 両耳にいくつものピアスを開け、学ランの前ボタンを外し、だらしなく着崩している。


「ひょっとして、入る高校間違えちゃった? あ、わかった。彼氏探してるんだ。なんなら俺が彼氏になっ……ぐはっ!」


 そのままわたしの肩を掴もうとした男子生徒が、突然横にふっ飛んだ。