「お父様の言われた通りにしか生きて来なかったんですね、、、。それって、楽しいですか?幸せですか?」
「楽しい、、、かどうかは分かりませんが、僕の幸せの為だと言われてきました。」
律樹さんは真面目な表情でそう言った。
この人は真面目過ぎるんだなぁ。
ある意味、父親に洗脳されて生きてきたのかも。
わたしは部屋を見渡すと、対面キッチンに入り、冷蔵庫を開けた。
調理家電はもちろん一通り揃っているが、冷蔵庫の中身まで揃っていた。
次に洗面所に向かうと、ドラム式洗濯機が置いてあり、乾燥機まで装備され、お風呂場も綺麗で広かった。
トイレも広く、お店のトイレのように中に手を洗う場所が設置されていた。
そして、最後に寝室。
ドアを開け、わたしの目に最初に飛び込んできたのは、ダブルベッドだった。
ダブルベッド、、、
今日からわたしは、このダブルベッドで律樹さんと寝るの?
今日初めて会ったばかりの人と、同じベッドで寝るの?
寝室には、段ボールが3箱置いてあり、段ボールには黒マジックで「花のもの」と書かれていた。
わたしは溜め息をつくと、段ボールの中身を片付けることにした。



