すべての想いは君とふたりで


エレベーターで5階まで上がると、エレベーターの正面が502号室だった。

わたしは恐る恐るドアノブに手を掛けると、ゆっくりとドアノブを下にさげ、手前にドアを引いた。

中を覗いて見ると、真っ直ぐな廊下が続いており、その先に人影を見つけた。

わたしは玄関に入ると、そっとドアを閉める。

すると、廊下の先にあるリビングであろう場所に一人の男性が立っていて、目が合った。

「安藤花さん、ですか?」

その男性がそう話し掛けてきた。

わたしが「はい、、、。」と返事をすると、その男性は低姿勢ですばやくこちらに歩いて来ると、わたしの目の前で止まり、「僕は、佐久間律樹と申します。よろしくお願いします。」と自己紹介をしてきた。

「よ、よろしくお願いします。」

その男性は背が高く、目鼻立ちがハッキリとしていて、こうゆう人が好青年と呼ばれるんだろうなぁ、という印象だった。

わたしが玄関で突っ立っていると、律樹さんは「どうぞ、入ってください。」と促してくれ、わたしは「お邪魔、します、、、。」と靴を脱ぎ、中へ入った。

自分の家なのに、「お邪魔します」はおかしいか。

ここにこの人が居るってことは、この人がわたしの婚約者ってことだよね。

思ってたより、良い人そう。

そう思いながら、わたしはリビングへと続く廊下を歩いた。