女神は天秤を傾ける

「なっ、なっ、なっ……」



 あまりの動揺に、言葉を継げない。




「は、はっ、はっ」



 言葉が出ないから、息ばかり吸ってしまう。



 暖かく感じたのは左のイリ、ひんやりと心地よかったのは右にいたモアディさま。

 私は二人に引っ付いて寝ていたことになる。



 お、おまけに―――――。




「わ、私の服ドレスは? な、なんでイリは裸なの!?」



 やっと声が出た。

 ひきつってはいたけれど。



「静かにしてください。説明しますので、騒がないで」



 のそりと起き上がったモアディさまは、薄衣を身に着けていた。

 から、いいわけではない。




「なんだ、元気じゃねぇか」

「ふ、服着てよイリッ」



 それまで寝台から出てこないで欲しい。



「わ、私になにをっ!?」



 なにがどうして、こんなことに?



「こんなことが知れたら、しれたらっ」

 お嫁に行けなくなるっ。



「だったら、もっと声を控えてはどうですか?」



 私の慌てぶりがまったく伝わっていないモアディさまは、面倒と思っているのが顔に張り付けている。



「なっ、なっ……」

 私になにをした!? と聞きたいのに、動揺が言葉を紡がない。

 親以外の異性と同じ寝台に寝るなんて、結婚以外ありえない!!!

 そもそも、私はお父さまとも寝たことがないのに。



「なにもしていませんよ。それどころか、あなたを温めたり冷やしたり、忙しい夜で寝不足です。元気なようなので、感謝して欲しいぐらいです」



 はぁ!?

 声に出ていたら、きっとまた冷たい目で見られるだろう心の声。



 感謝って、誰にですか!?

 私はいきなり氷で呪縛されて、そのせいか体調を崩したんですよ。

 私を氷漬けにしたのは誰だって言うんです、誰に感謝を述べろと!?

 ワナワナして身体が震えた。



 心の声。

 出しちゃだめ、声にしちゃだめ。騒いだらだめ。

 呪文のように自分に言い聞かせた。