ぽつんとひとりでいると、部屋が広く感じる。
ユーを残してくれたので、私はユーを指にとまらせて撫でて待つ。
「モアディさまを呼びに行ってくれてありがとうね」
ギュイギュイ。
片目だけつむって、挨拶を返してくれたの?
本当に利口な鳥ね。
鳥語がわかればいいのにと思ったけれど、ユーとはそれなりの意思疎通ができてしまうのでわからなくてもいいかもしれない。
うちにも一羽欲しいけど、管理がなかなかに難しい鳥と聞いたから無理ね。
ザワついた気持ちをユーに慰めてもらっていると、神妙な顔をしたモアディさまが戻ってきた。
「失礼しました。誤認があったようです」
「いえ、大丈夫です」
外でなにを話たのだろう。
そんなに長い時間ではなかったけど、私も落ち着けた。
「あぁ…これは痛みますよね」
「え? ひゃぁ!」
いきなりモアディさまが私に向かって手を伸ばしてきて、首すじに触れた。
その冷たい指が、するりと首を撫ぜる。
指の温度のせいか、違う理由なのか、ぞくぞくっと身体に鳥肌が立ってしまうほどだった。
「な、なにをっ……」
指が離れたとたん、私は反射的にモアディさまから離れた。
冷たかったのに、心臓がバクバクして耳が熱く感じる。
「お前だって警戒されてんじゃねーか」
なにがおかしいのか、くくくと喉の奥で笑うイリ。
それをまったく聞いてない感じで、モアディさまはさっきまで座っていた椅子に腰を下ろした。
『気づいてねーぞ」
「な、なにがですか?」
また私に何かしたんだ。
魔法? 指の冷たさしか感じなかったけど。
「何をしたんですか?」
私の警戒に、モアディさまは苦笑い。
「仕方ありません、自分では見えないところですから。とりあえず座ってください。イリだけじゃよくわからなくて」
「はい……あっ!」
座りかけてわかった。
首にきっと、あとがついてしまっていたんだ。
赤くでもなっていたのだろう。
モアディさまが、先日ユハスさまがしてくれたみたいに私の傷を取り除いてくれたんだ。
「ありがとうございます、首……」
「淑女の肌に、万が一残るようなことになったらいけません」
そんなに痣に?
私の赤みが、モアディさまのあの白い肌に浮き出ていたら部下たちはザワついてしまう。
でも、モアディさまの首は透明感のある白さのままだった。
あれ?
「モアディさまは痛みを感じないのですか?」
思いつくまで私も痛くはなかったけれど、気づくぐらいにはあとになっていたのよね。
「私をなんだと思っているんですか?」
とても、とても冷たい目で見られている。
私は不用意なことを言ってしまったらしい。
「す、すみません」
私は小さくなっておく。とりあえず。
「モアディぐらいだと、治癒が使えるからな。見習い風情が使う移譲魔法と訳が違う」
「そ、そうですよね」
イリの見習い風情と言う言い方にはちょっと引っかかったけど、納得もした。
戦場に出たら、生死にかかわる傷を治さなきゃならない。
いちいちその身に移していたら、大魔法師は傷だらけだし短命ってことになっちゃうわ。
モアディさまの整った顔立ち、肌、つやつやの銀髪、傷の一つもない。
「夢に見ることがあるということですが、そういう血筋ということですか?」
「血筋かどうかはわかりません」
モアディさまは、私を質問攻めにするつもりだ。
イリの話では要点を掴めないと判断したらしい。
ボロを出さないようにしないといけないな。
私は気を引き締めた。
ユーを残してくれたので、私はユーを指にとまらせて撫でて待つ。
「モアディさまを呼びに行ってくれてありがとうね」
ギュイギュイ。
片目だけつむって、挨拶を返してくれたの?
本当に利口な鳥ね。
鳥語がわかればいいのにと思ったけれど、ユーとはそれなりの意思疎通ができてしまうのでわからなくてもいいかもしれない。
うちにも一羽欲しいけど、管理がなかなかに難しい鳥と聞いたから無理ね。
ザワついた気持ちをユーに慰めてもらっていると、神妙な顔をしたモアディさまが戻ってきた。
「失礼しました。誤認があったようです」
「いえ、大丈夫です」
外でなにを話たのだろう。
そんなに長い時間ではなかったけど、私も落ち着けた。
「あぁ…これは痛みますよね」
「え? ひゃぁ!」
いきなりモアディさまが私に向かって手を伸ばしてきて、首すじに触れた。
その冷たい指が、するりと首を撫ぜる。
指の温度のせいか、違う理由なのか、ぞくぞくっと身体に鳥肌が立ってしまうほどだった。
「な、なにをっ……」
指が離れたとたん、私は反射的にモアディさまから離れた。
冷たかったのに、心臓がバクバクして耳が熱く感じる。
「お前だって警戒されてんじゃねーか」
なにがおかしいのか、くくくと喉の奥で笑うイリ。
それをまったく聞いてない感じで、モアディさまはさっきまで座っていた椅子に腰を下ろした。
『気づいてねーぞ」
「な、なにがですか?」
また私に何かしたんだ。
魔法? 指の冷たさしか感じなかったけど。
「何をしたんですか?」
私の警戒に、モアディさまは苦笑い。
「仕方ありません、自分では見えないところですから。とりあえず座ってください。イリだけじゃよくわからなくて」
「はい……あっ!」
座りかけてわかった。
首にきっと、あとがついてしまっていたんだ。
赤くでもなっていたのだろう。
モアディさまが、先日ユハスさまがしてくれたみたいに私の傷を取り除いてくれたんだ。
「ありがとうございます、首……」
「淑女の肌に、万が一残るようなことになったらいけません」
そんなに痣に?
私の赤みが、モアディさまのあの白い肌に浮き出ていたら部下たちはザワついてしまう。
でも、モアディさまの首は透明感のある白さのままだった。
あれ?
「モアディさまは痛みを感じないのですか?」
思いつくまで私も痛くはなかったけれど、気づくぐらいにはあとになっていたのよね。
「私をなんだと思っているんですか?」
とても、とても冷たい目で見られている。
私は不用意なことを言ってしまったらしい。
「す、すみません」
私は小さくなっておく。とりあえず。
「モアディぐらいだと、治癒が使えるからな。見習い風情が使う移譲魔法と訳が違う」
「そ、そうですよね」
イリの見習い風情と言う言い方にはちょっと引っかかったけど、納得もした。
戦場に出たら、生死にかかわる傷を治さなきゃならない。
いちいちその身に移していたら、大魔法師は傷だらけだし短命ってことになっちゃうわ。
モアディさまの整った顔立ち、肌、つやつやの銀髪、傷の一つもない。
「夢に見ることがあるということですが、そういう血筋ということですか?」
「血筋かどうかはわかりません」
モアディさまは、私を質問攻めにするつもりだ。
イリの話では要点を掴めないと判断したらしい。
ボロを出さないようにしないといけないな。
私は気を引き締めた。
