「さて、聞かせろ、なぜなんだ」
ふたりきりになった部屋の中は、相変わらず空気が重い。
いや、圧が強いのはモアディさまだから気持ち少し負担は減った。
「これからいうことを、信じてくれますか?」
「それは断言できない。聞いてから判断する」
一応かけた保険だけど、きっぱりと断られてしまった。
まだ想定内。
半信半疑になるのは当たり前のこと。
「夢を、みたんです」
「はぁっ!?」
私の発言に、驚いてしまったのかどこから出たの? という感じの声のひっくり返りかただった。
「子供の時から、夢に見たことが当たる経験があります」
「お前……聖女かなんかか?」
腕組を崩さず、しばらく考え込んだ後にイリはそう言った。
「聖女? いやいや、そんなすごい人物ではないです」
聖女って、教会で保護しなきゃならないような、神と通ずる奇跡を起こす人でしょ?
私はそんな偉大な人じゃない。
手を振って、身振りで違うと否定した。
はっきり言ってしまえば「死人」が近い。
「恐れ多いです」
謙遜した私を、イリはふんと鼻で笑った。
「では、その夢の話を信じることはできないな」
「ですよね、でも、信じてもらえるかもしれない話をいまからします」
時折聞こえていた、ダーリアさまの叫び。
誤解だと、誰かの策略だと、そんな叫びも聞こえていた。
その中に、私たち貴族でも知らないことがあったのだけど。
「王子は二人じゃない、王さまは異国のかたとも……」
「お前!」
「痛っ……」
イリがいきなりとびかかるように来て、私の肩を掴み壁に押し当てた。
すごい勢いだったから、私は背中を打ち付けた。
「なんで知ってる! お前は誰だっ」
びりびりと、イリの大きな声が鼓膜を震わす。
「痛い、離して……」
お願いしたけど、私を壁に押し付ける力は弱まらない。
この取り乱し、逆にそれは本当だと示したも同じでしょう。
「だ、だから夢に……」
苦しい。
腕が首に当たって、息が上手くできない。
なぜこんなにイリは激昂したの?
『私は騙されたんだ』
『私が優秀で邪魔だったのだな』
『国を売ろうとなんてしていない』
『王は病的に女好きだからなぁ』
ダーリアさまの叫び、は数あったけれど、錯乱していると笑われているだけだった。
でもあれが本当である可能性だってある。
まだ公表されていない、王の子がいてもおかしくない。
何度も何度も聞こえていたから、私が洗脳されている可能性もあるけどね。
でもこのイリで確信したわ。
私の予測通りのことが城内で起こった。
「く…、くるし……」
「言えよ。誰に聞いたことだ? 貴族での『噂話』ってやつか?」
額にイリの額が触れるほど近い。
凄い圧だった。
さすがに護衛業やっているだけある腕力ね。
私、もう足が床についていないわ。
「どこから漏れ出た話だ?」
「ち、ちが……」
カチャリと、イリの腰の剣の音が響いた。
柄を握ったんだ。
私、殺されるかもしれないわ。
いま。
あの冷たい刃の感覚が蘇って、目をぎゅっとつむった。
怖い。怖い。怖い。
死にたくない!
口をわらないと、イリに斬りつけられるかもしれない。
どうしたって、私の首は斬り落とされてしまうの!?
ふたりきりになった部屋の中は、相変わらず空気が重い。
いや、圧が強いのはモアディさまだから気持ち少し負担は減った。
「これからいうことを、信じてくれますか?」
「それは断言できない。聞いてから判断する」
一応かけた保険だけど、きっぱりと断られてしまった。
まだ想定内。
半信半疑になるのは当たり前のこと。
「夢を、みたんです」
「はぁっ!?」
私の発言に、驚いてしまったのかどこから出たの? という感じの声のひっくり返りかただった。
「子供の時から、夢に見たことが当たる経験があります」
「お前……聖女かなんかか?」
腕組を崩さず、しばらく考え込んだ後にイリはそう言った。
「聖女? いやいや、そんなすごい人物ではないです」
聖女って、教会で保護しなきゃならないような、神と通ずる奇跡を起こす人でしょ?
私はそんな偉大な人じゃない。
手を振って、身振りで違うと否定した。
はっきり言ってしまえば「死人」が近い。
「恐れ多いです」
謙遜した私を、イリはふんと鼻で笑った。
「では、その夢の話を信じることはできないな」
「ですよね、でも、信じてもらえるかもしれない話をいまからします」
時折聞こえていた、ダーリアさまの叫び。
誤解だと、誰かの策略だと、そんな叫びも聞こえていた。
その中に、私たち貴族でも知らないことがあったのだけど。
「王子は二人じゃない、王さまは異国のかたとも……」
「お前!」
「痛っ……」
イリがいきなりとびかかるように来て、私の肩を掴み壁に押し当てた。
すごい勢いだったから、私は背中を打ち付けた。
「なんで知ってる! お前は誰だっ」
びりびりと、イリの大きな声が鼓膜を震わす。
「痛い、離して……」
お願いしたけど、私を壁に押し付ける力は弱まらない。
この取り乱し、逆にそれは本当だと示したも同じでしょう。
「だ、だから夢に……」
苦しい。
腕が首に当たって、息が上手くできない。
なぜこんなにイリは激昂したの?
『私は騙されたんだ』
『私が優秀で邪魔だったのだな』
『国を売ろうとなんてしていない』
『王は病的に女好きだからなぁ』
ダーリアさまの叫び、は数あったけれど、錯乱していると笑われているだけだった。
でもあれが本当である可能性だってある。
まだ公表されていない、王の子がいてもおかしくない。
何度も何度も聞こえていたから、私が洗脳されている可能性もあるけどね。
でもこのイリで確信したわ。
私の予測通りのことが城内で起こった。
「く…、くるし……」
「言えよ。誰に聞いたことだ? 貴族での『噂話』ってやつか?」
額にイリの額が触れるほど近い。
凄い圧だった。
さすがに護衛業やっているだけある腕力ね。
私、もう足が床についていないわ。
「どこから漏れ出た話だ?」
「ち、ちが……」
カチャリと、イリの腰の剣の音が響いた。
柄を握ったんだ。
私、殺されるかもしれないわ。
いま。
あの冷たい刃の感覚が蘇って、目をぎゅっとつむった。
怖い。怖い。怖い。
死にたくない!
口をわらないと、イリに斬りつけられるかもしれない。
どうしたって、私の首は斬り落とされてしまうの!?
