放課後になり
「じゃあ帰ろっか」
「うん」
と言い僕らは帰り始めた。
「雪村さんはどこから転校してきたの?」
「東京だよ。その前は愛知。その前は福岡。でも生まれたのはここ東町」
「そうなの!?」
「そうだよ!驚いた?」
クスクス笑いながら彼女はそういった。 
 詳しく聞くとお父さんとお母さんの地元は熊本なのだが、お父さんの転勤の影響でこれまで様々なところに行っていたらしい。彼女が生まれたときはたまたまここ東町にいたらしく、彼女も5歳まではこっちにいたそうだ
 「やっぱり13年も経つと道覚えてないな」
と彼女は不満げに呟いた。
「そりゃ13年前のことだから無理もないよ」
「それもそっか」
とスパッと切り替えて彼女は
「このへんに美味しいお店とかある?」
と聞いてきた。
 なんかあったかなと考えていると、大学生の姉が隣町の西町にパンケーキが美味しいカフェができたって言っていたのを思い出した。
「西町にパンケーキが美味しいカフェがあるらしいよ」
と言うと
 「ほんと!?今から行こ!!」
と彼女が言ったため、ちょっと寄り道してカフェに行ってみた。
 
 カフェの中は学校終わりということもあり、学生でいっぱいだった。
 彼女は席につくなり、雪村さんはこのパフェがいいとすぐに頼んでいた。僕はそこまで甘いものが好きではないのでカフェオレにした。
「ん〜めっちゃおいし〜」
と言いながら彼女は幸せそうな顔してパフェを食べていた。
 カフェでは好きなテレビ番組やアニメの話をしたり、彼女のこれまで住んできた場所の話を聞いたり、逆に僕が彼女が居なかった間の大阪の話をした。お互い好きなアニメやアーティストなど共通点が多いということが分かりとても盛り上がった。
 カフェの鳩時計の音がなり、ふと外に目をやるとすっかり町は暗くなっていた。
 「そろそろ帰ろっか」
と彼女が言い、僕も頷いた。
 帰り道でもさっきの話は続いた。
「それで、武道館ライブに言ったときに・・・」
と彼女が話していると、雪が降ってきた。
「綺麗」
空を見上げながらそう呟いた彼女の横顔にドキッと胸が高鳴った。
「そんなに見つめてどうかした?」
彼女に言われ素に戻った僕は
「雪村さんの髪に雪がついてたから」
ととっさに言った。
 そんな会話をしているうちに彼女の家についた。
「それじゃあまた明日ね」
「うん。また明日」
そういって僕は自分の家に向かって歩き出した。