今日は高一の春から付き合っている彼氏とデート。
1年記念だから、思いっきり可愛くして行こうと、張り切って準備をした。
「もう一年かぁ〜」
そう言いながら時間を確認すると9時47分。集合時間は10時で、ここから集合場所まで10分はかかるから15分前に出ようと思ったのに……と、慌てて家を出た。
4月5日、今日は私の誕生日だ。なにかお店を予約してくれている様で、遅れる訳にはいかなかった。
「はぁ、はぁ、はぁ。」
いつもは履かない厚底の靴だから、走りにくい。
「はぁ、後ちょっと。」
その時、後ろから何かがぶつかった。
ずっと走って、遅刻しない事しか考えて無かったから、何が起こったのかすぐに理解は出来なかった。
気づいたら私は倒れてて、晴流が名前を呼んでこっちに走ってきている。
あ〜、事故なのかとなんとなく理解した。
近くにトラックがあるし、トラックはなんか汚れてる。
それに私からは大量の血が出てきていた。
「これ、ダメなやつだぁ、」
「陽奈!!ダメだ!!まだ間に合うから、!救急車もうすぐくるから、まだ…死ぬな…」
今にも目から涙が溢れそうな晴流。
「もう、いいの。ありがとぉ。」
「まだ…、まだやめてよ…、」
だんだん体が暖かくなってきた。
はぁ、誕生日なのになぁ。晴流がせっかく誘ってくれたデートだったのに、行けなかった。
「ご、めん、ね、晴流。」
「陽奈、喋らなくていい。謝るな、大丈夫だからな。絶対何とかするから、な?だから…、まだ生きて…。」
意識が遠のいて、なんだか心地よい気分だ。