何だかんだで怜は私の部屋に住み着いたままで、私は学校に行くことになった。

それにしても朝は最悪の目覚めだったな……
目が覚めたら私の真上に怜が乗っていて、にっこにこな笑顔で
「おっはよー!!」
って言ってきて……

私が見えるようになる前も毎日やっていたらしい。
やっぱり変人だ。
しかしなぜ私は幽霊が見えるようになったのだろう。
怜の話によると普通人間には幽霊は見えないそうだ。
昨日幽霊でも出ないかな〜とか思ったからか?
そんな事を考えているととっくに学校に着いてしまった。


校舎に入り下駄箱で靴を履き替えた。

教室に着いて、私は自分の机にカバンを置く。
「はぁ……」
大きなため息をついて自分の席に座った。

こんな私だから話し相手もいないし、もちろん友達もいない。

椅子に座ってから頭を抱える。

(朝から疲れた……)
そんな事を思いながら怜の顔を思い出す。

白っぽい青髪で、私の方をじっと見つめるダイアモンドのような瞳。

その顔を思い出すと急に顔がブワッと熱くなる。
(う…うそ…この気持ち……)
そう、これは私が中学生の時に感じた "恋をした時" の感覚だったのだ。

(な、んで…?え、なんでなんで?!)
よく考えてみた。

性格……はまぁ良い。しかし…ストーカーだ。その上霊だし…

そんな事を思いながら椅子の上で足をバタバタさせる。そしてもう一度考えてみた。
性格…優しさ…………

そこに美羽はピンと来る答えがあった。
「顔……?」
よく考えてみた。初めて会った時はパニックであまりじっくり考える余裕がなかった。

でもよく考えてみるとすっごくイケメンでかっこいい。
こちらを見つめる目、透き通るように白い肌。
整った顔にキレイな形の唇。
「私もしかしてホントに……」
自分の気持ちを受け入れようとしたその時…
教室のドアがガラッと開き担任が入ってきた。
あーだこーだ話しているが、私は今そんな場合じゃない。数年ぶりの恋をしたのだ。

「幽霊に恋……あははは…」
そんな非現実的なことを考えると笑えてきてしまった。