入学式が終わり家に帰って
私は2階にある部屋行くための階段を登った。
そして部屋の前へ着き、ドアを開けると───

「だ、だ、だれ?!?!」
そこには同い年くらいの男の子がいた。

不法侵入?不法侵入?!
そんな事しか考えられなくなり、私は部屋の前で突っ立っていた。

そうするとその謎の男の子は私の方をじっと見ながら言った。

「ん、え?!美羽ちゃん、俺の事見えるようになったの?!」

見えるようになった?
意味がわからなくてその男の子の事をじっと見つめる。
よく見てみると透けてる……?
透けてるってなに?!
更に頭の中はぐちゃくちゃになってしまった。

「そっか……そうだね。美羽ちゃんはまだ幽霊のこと何も知らないもんね。ごめんね驚かして」
少ししゅんとした表情で彼は私の方を向く。
「俺は神谷怜。幽霊だよ」

ん?幽霊?!
ど、どういうことっ!!
「幽霊?!え?えっ?!な、なんでこの家にいるのっ?」
混乱のあまり質問攻めをしてしまっている。

申し訳ないという気持ちとあるが、それより聞きたいことが多すぎて質問をするしかなかった。
「俺はね、美羽ちゃんに一目惚れしたの。美羽ちゃんが中学生の時にね。」
中学生……
一目惚れ…?

中学生にはいい思い出が無く、一目惚れをする要素がなかった。
男の子…じゃなくて怜は悲しそうな顔で話を続ける。
「それで1回学校について行ったことがあったんだけど……」

ま、まさか……
「それが美羽ちゃんの好きな人がバラされちゃった日なんだ……」
……!!
う、そ……
じゃあ私のことは知られちゃってるんだ…

「それから美羽ちゃんの様子が心配で…この部屋に住んでいるんだ…」
この人は……いや、この幽霊は……
すっごく、すっっごく……

「へ、変態じゃん!!!!」

変態だ!!一目惚れした女の子について行って住み着くなんて!!

ストーカー!!ストーカーじゃん!!
「変態?!え?!」

怜はびっくりしたように私の方を見た。
まるで全く自覚がないかのように。
「ご、ごめん……あ、でも俺は悪霊じゃないし、害もないから安心してね!!」

そ、うなんだ……
確かに善霊がいるのなら悪霊もいるのかもしれない。
幽霊や妖怪は信じていなかったが、今の状況を目の当たりにすると居ないとは言えなかった。