殺人容疑をかけられた悪役令嬢の真実。

 しかしテリーは、セレスティンをギロッと睨んできた。手には血で塗られた剣が握られている。
 セレスティンは、ハッとする。このままでは殺されてしまう。
 皇后の側近である彼は、主人の命令は絶対だ。皇后はセレスティンのことを疑っているようで、探りをいれてきた危険人物だ。
 今回の事件のことで真相に気づいたとなれば黙っていないはず。
 セレスティンは必死に走って逃げた。テリーは眉間にシワを寄せて、とにかく凄い勢いで追いかけてきた。
 走りは慣れておらず段々と息が荒くなり、みぞおちが苦しくなる。

(何処かに隠れないと……このままだと捕まってしまうわ)

 必死になって逃げる一方で、逃げ道を考える。すると、曲がり角のところに物置きがあるのを発見する。掃除の用具入れにしていたはずだ。
 セレスティンは急いで、ドアノブに手をかける。運良く鍵をし忘れていたようだ。
 その中に入ると、すぐに内側の鍵を閉めた。そして息を潜める。
 用具がたくさん入っているせいで狭い場所だったが、子供が入る隙間はあった。
 しばらくするとテリーらしき人影が。

「おかしいな……たしかに、こちらに逃げてきたはずなのだが」

 手を口に押さえて息を殺すが、内心は恐怖で膝がガクガクだ。血の気が引く思いで耐えているが、このままでは持たない。

(どうにかしないと……レンデル様)

 あまりの恐怖で思わずレンデルの顔を浮かんでしまう。だが、その時に思い出した。
 レンデルに渡された丸い玉。あれが、あれば玉を通して会話が出来るはずだ。

(あ、でも今はレンデル様は寝こんでいるわ)

 だが、この状況では彼を頼るしかないだろう。せめて彼の母親であるシャノンが出てくれたらいいが。すると、その時だった。
 ガチャッとドアノブが開けようしてきた。