殺人容疑をかけられた悪役令嬢の真実。

 疑われる前に、相手に気を紛らわせるための戦略として。

「さぁ、勝負はあったな。俺の勝ちだ。勝ったら質問に答えてくれる約束だったはずだが、覚えているか? 俺は、ある毒薬を探している。それがここにあるはずだと、聞いてな。知っていたら答えろ」

 レンデルはストレートに毒薬のことを聞いた。
 もう少し言い方を考えた方がと思ったが、彼は遠まわしに言うのが好きではないのかもしれない。

「……それは」

 言いたくない情報なのか、ごにょごにょと口を閉ざすトリスタン。

「なら言い方を変える。その毒薬は皇帝を殺したこと、と何か関係しているのか?」

 さらにストレートに聞いてくるレンデルだが、それにハッとして彼を見るトリスタンの顔は一瞬で真っ青になっていく。

(これは、何か知っている顔だわ!?)

 セレスティンはそう思った瞬間だった。危機感を持ったのか、トリスタンは真っ青な顔をしたまま突然逃走してしまった。
 まさかの状態に啞然とセレスティンだったが、レンデルはすぐさま指示を出す。

「あの男を追え」と……。

 そうしたら何人かの客と、ディーラーが追いかけに向かっていく。やはりレンデルの仲間が何人か紛れ込ませていたようだ。

「俺らも行くぞ」

「は、はい」

 レンデルに手を掴まえられて、何故かセレスティンも走らせることに。ドレスとヒールなので必死に追いかけることが精一杯だったが。
 すると何かを察したのか、黒色のケープを羽織った男たちに防止させられる。

「何だ? 貴様らは」