殺人容疑をかけられた悪役令嬢の真実。

「ご、ごめんなさい」

「あ、いや……大丈夫だ」

 お互いにドキドキして少し離れようとするが、まだ馬車がガタガタするので、結局抱き締められたままになってしまった。

(どうしたらの!?)

 無理やり剝がすのも失礼なような気がして戸惑ってしまう。セレスティンは、そっとレンデルを見ると彼と目が合ってしまった。
 間近で見るレンデルは本当に綺麗な顔をしている。まつ毛も長くてバサバサ。キリッとした眉と切れ長の目は吸い込まれそうだ。
 髪型も今日は変装のために上げてセットをしており、大人っぽい雰囲気。
 思わず、うっとりと見惚れていると、どちらともなく顔が近づき唇を重ねてしまった。驚いて唇を離そうとするとギュッと抱き締められて身動きが取れない。
 セレスティンは目を閉じて、ひたすらその感触を味わうのだった。

 無事にカジノがあるお屋敷に着いた頃には、お互いに目を合わせることが出来ないほど、気まずい雰囲気になってしまった。

(あんなキスをしたのは初めて)

 そもそもキスすら婚約者であったウィルモットにしてもらったことはなかった。
 ファーストキスをまさかレンデルとするとは思ってもなかったが。
 しかも、あんな情熱的なキスまで。思い出しただけでも顔から火が出そうになる。

「では……行くか」

「は、はい」

 お互いにドキドキと気まずいまま屋敷の中に入っていく。
 ドアを開けると、そんな状況とは一変して、闇カジノはかなり華やかだった。
 豪華なシャンデリアや高級な彫刻像が飾られており、中心にはルーレットやトランプのポーカーゲーム。それにダーツなど。