殺人容疑をかけられた悪役令嬢の真実。

 とりあえずバレないように髪色を黒のウイッグを被った。カジノでは、アイマスクを付けるのがルールになっているため、誤魔化せやすいだろう。
 それでも用心して少し濃い目のメイク、普段着ないような派手なワインレッドのドレスを着用する。これで準備は万端だろう。

 馬車に向かおうとしたら、シャノンがこそっとセレスティンに話しかけてきた。
 気をつけてと言うだけかと思ったら、その言葉に衝撃を受けた。
 セレスティンは、そのままレンデルと一緒に馬車に乗ると、カジノがある裏通りに向かう。
 ゴトゴトと馬車に揺られていると、レンデルが自分の母と話していたことに気になり、セレスティンに話しかけてくる。

「さっき母と話していただろう? 何を話していたんだ?」

「そ、それは……」

 急に恥ずかしくなり、ごにょごにょと口を濁らせる。

「どうしたんだ? いいから話してみろ」

「……実は、シャノン様が教え下さったことは、その……魔塔から買っで下さった薬は、かなり高価だと。レンデル様が何とか資金を集めて買って下さったものだと聞きました」

 それが本当なら大変なことだ。レンデルは騎士団の団長で第2皇子だとしても、皇后の陰謀で貰える資産が少なかった。
 そんな状況で高価な薬を買い続けたら破産寸前になってしまうだろう。

「どうして、そこまで!? 私のために、家の財産を削るようなまねを?」

 セレスティンは逆に申し訳なくなる。そこまでしてもらう義理もないのに、大変な目に遭わせてまで助けてもらっていたなんて衝撃的だった。
 するとレンデルは、窓の方を見ながらボソッと開いた。

「……別に当然のことをしたまでだ。俺は君のことを幼い頃から知っているからな」