殺人容疑をかけられた悪役令嬢の真実。

「はぁ~ウィルモット。こんな大勢の人が集まっている中で喧嘩なんて、しないでちょうだい。皇帝になるまでの大事な時期なんだから大人しくしていなさい。それよりもレンデル。皇太子殿下を殴るとは、どういうことですか?」

 皇后は呆れたようにため息を吐くと、2人を叱りつけた。しかしセレスティンは、その言葉に引っかかっていた。

(皇帝になるまでの大事な時期? 皇帝になれるかもしれないなら、分かるけど。皇后様は息子のウィルモット様を皇帝になれるものだと思っている方ではいるけど……なんだろう? この違和感は)

 そもそも、まだレンデルがいる。彼がいる以上は、反対抗議の方が多く上がっている。

(それを覆す策でもあるのかしら?)

 その後、なんとか葬儀が終わった。無事に正体に気づかれずに帰宅するための馬車に乗ることが出来たが、セレスティンの心は晴れないままだった。
 馬車の中でもずっと沈黙のまま、考え込んでいた。
 気になる点がいくつか出てきた。カトリーヌの死体には、首を手で絞め上げられた跡があること。くっきりと残るぐらいの腕力で絞めたのだろう。
 それにウィルモットのあの自信に満ちた行動や発言。自信家だったが、めんどくさがり屋で、臆病なところがある彼。そのせいか口だけなところが多かった。
 だが今回は、どこか確信を持ったような強気な発言。まるで、自分が皇帝になれると分かっているような。
 それは皇后も似たような感じだったが……。

 すると向かい側に座っていたレンデルが、フッと私の手を握ってきた。
 ハッとするセレスティンに「大丈夫か?」と心配そうに声をかけてくれる。

「あっ……大丈夫です。ちょっと、考え事をしていて」

「……無理をするな。あんなことを言われた後だ。落ち込むのは無理もない」