殺人容疑をかけられた悪役令嬢の真実。

 シャノンの決めてくれた通りに、友人の子で聖女に憧れていた設定にする。
 葬儀のために喪服を着ると、馬車で神殿に向かう。たくさんの人たちが嘆き悲しんでいた。
 貴族だけではなく民までいる。カトリーヌがどれだけ慕われていたのかが分かる。
 棺の中心でトリスタンが泣いているのは見えたが、アンナの姿は何処を探してもいなかった。イトコだから来ていてもおかしくないのに。
 不思議に思っていると、民や貴族がコソコソと噂話をしているのが聞こえてきた。

「聞きました? 聖女様が亡くなったのは、あの悪女・セレスティン公爵令嬢が殺したからですって」

「なんて恐ろしい。聖女様に嫉妬して、そこまでやるなんて」

「偉大な聖女様がやっと、この国に現れてくれたと思ったのに……なんて罰当たりなことを。早く捕まって死刑にすればいい」

 その内容は、カトリーヌを殺したのはセレスティンだというものだった。
 いつのまにか、その話題は民にまで流れてしまっている。怒りと悲しみで、口々とセレスティンのことを悪く言っている。
 すると、その声を聞いたウィルモットは涙を拭きながら、集まった貴族や民の前に立った。

「皆の者、よく聞け。国始まって以来の偉大な聖女が死んだ。その大切な命を奪ったのは、セレスティン・アーノルド公女だ。俺と聖女の仲を嫉妬し、よりにもよって聖女の胸をナイフで刺すという、非道最悪な方法で殺した。それを許していいのだろうか?」

 まるで演説をしているかのように大声を張り上げて訴えてくる。
 これでは、本当にセレスティンがカトリーヌを殺したように聞こえてくる。しかしウィルモットの言葉は止まらない。

「ここに宣言する。セレスティンは今日もって婚約を破棄とする。そして聖女・カトリーヌを殺害した容疑で逮捕すると。あの女はどの方法で脱獄したか分からないが、もし見つけた者や捕まえた者には皇宮から褒美を贈る。聖女のために、協力を頼む」