皇宮の中にある地下に無理やり連れて来られた。じめっとして薄暗く、汚い牢屋。
 そこに閉じ込められたセレスティンは、絶望とショックを受けて頭が真っ白に。

(何故こうなってしまったの?)

 毒を盛られたとされる皇帝陛下。優しくしてくれたカトリーヌが何者かに殺された。 
 自分は後ろから殴られて、気づいたら殺人者にされていた。
 まるで巧妙に仕組まれたかのように。

(誰が、彼女を? それよりも、このままだと私がカトリーヌを殺したことにされてしまう。下手したら……死刑に)

 セレスティンの頭の中は恐怖とショックでごちゃごちゃになっていく。見覚えのない罪に、大切な親友の死。
 あまりにも絶望的で、抜け殻のように座ったまま啞然としていた。
 何時間が過ぎたか分からない。ガチャッと音がすると、誰かが地下の廊下を歩いてくる。交代に来る看守の人だろうと思ったら皇后だった。

「こ、皇后……さま!?」

「まぁ、古臭いところね。それよりも、まったく……やってくれたわね」

 皇后は、はぁ~とため息を吐きながら口元をセンスで押さえる。呆れかえった口調でそう言ってきた。

「……申し訳ありません。ですが……これは」

「……私はね。あなたを皇妃にするつもりだったのよ?」

「えっ?」

 不機嫌そうな表情でセレスティンに対して、鋭い目つきで睨みつけてきた。まるでお前が全て悪いと言われているかのように。
 セレスティンはビクッと肩を震わせる。

「あなたは明日、聖女殺しとして死刑になることが決まったわ」