殺人容疑をかけられた悪役令嬢の真実。

 どうしてか、ハンナを一緒に連れていくことに反対してくるアンナ。それに、なおさら疑問を抱く。

「だったら外で待ってもらうようにするわ」

「そ、そんなのダメです!? 陛下は絶対に1人で来るようにと言われたんです。そうじゃないと、私が怒られます」

 それでもセレスティンを1人に行かせようと、必死になって声を上げるアンナ。まるで、そうならないと困るかのように。
 ハアハアッと息を切らしながら、言ってくるアンナの顔色は見る見るうちに青白くなっていく。よほど焦っているのだろう。

「……分かったわ。私、1人で行くわ」

「セレスティン様!? 本当にお1人で行かれるのですか?」

 ハンナも違和感に気づいたのか、心配そうに言ってくる。しかし、本当に皇帝陛下からの呼び出しだったら、行かないと失礼に当たる。
 それに今は大変な状況。もしかしたら何か伝えたくて……。

(とりあえず皇帝の寝室まで行って確かめよう)

 セレスティンは、違和感はあるものの、それが真実なのかと確かめることにする。
 上着だけ羽織り、アンナに案内で寝室に向かった。
 皇宮は左右が3階建てで、中央が4階建てになっている。
 その最上階に皇帝の寝室と執務室がある。夜になると警備の騎士か専属の侍女しか出入りを許されていない。
 長い階段を上って行く時に、チラッとアンナを見る。さっきよりも青白くなっているような気がする。彼女のことを気にしている間に皇帝の寝室まで来てしまった。
 ふぅ~と息を整えていると、アンナはドアをノックして部屋を少し開けた。

「どうぞ」

「えっ? あ、はい。失礼致します」

(そんな急に)と思ったが、セレスティンは言われた通りに寝室の中に入っていく。