殺人容疑をかけられた悪役令嬢の真実。

 大勢の騎士を連れて戦争に参戦していた側室の子で、ウィルモットの異母兄弟であるレンデル第2皇子が帰還と知らせが届いた。もちろん完全勝利。
 本来なら喜ばしいことなのだが、皇后とウィルモットの顔色は真っ青になっていた。
 側室の子で1つと年下だったため王位継承権はなかったものの、その実力と剣術は相当なもの。
 特にレンデルは騎士団の団長として多くの実力を確かなものだと証明してきた。
 それだけではない。ウィルモットと比べて子供の頃から成績も優秀だったし、何でもそつなくこなす。クールで真面目な性格。
 そのせいもあって皇太子は第2皇子でいいのでは? と周りは影で疑問を囁かれるように。
 ウィルモットは彼に酷い劣等感を抱くようになっていく。以前、機嫌が悪い時に

「お前を見ていると、あの男を思い出して腹が立つ」

 と言われた事があった。どうやら彼の目から見たら、セレスティンはレンデルに似ていてイラ立たせる存在らしい。真面目で自分よりも優秀なところ。
 それが嫌われる主な原因の1つだと言うのなら皮肉なものだ。
 戦争を勝利したレンデルの生還パーティーが行われることになったのだが、その間もウィルモットの機嫌は最悪なものだった。
 やはり指揮力に剣術など大きく才能を持ったレンデルを後継者にしたいと思っている一部の貴族や騎士達が、これといわんばかりに彼を褒めただえる。

「流石ですよ。どんな相手だろうが、向かって行く姿は救世主そのもの。その上、指揮能力も抜群とは……国も安泰ですな」

「こんな方が皇帝になって頂ければ、我々も安心して生活が出来るのに」

「私は次の皇帝は、第2皇子殿下だと思っています」

 他に貴族の令嬢たちも熱い視線を向けていた。普段はクールで怖い印象が強いレンデルだが、端正な顔立ちをしているため絶大に人気も高い。
 たしかに彼はサラサラの漆黒の髪にキリッとした二重の鋭い目。鼻筋もスッと高く、まるで絵に描いたような美しい顔立ちをしている。