殺人容疑をかけられた悪役令嬢の真実。

 そう言いながら苦笑いするカトリーヌ。セレスティンはギュッと胸が締めつけられそうになる。自分も彼女に嫉妬していた身だからだろうか?
 それに、聖女を辞める権限は、たとえ本人でも持ていない。それを決めるのは皇族と教皇たちだからだ。
 カトリーヌ自身も辛いところだろう。落ち込むセレスティンの手を取ったカトリーヌは「大丈夫よ」と言おうとした。
 しかし、その瞬間だった。

「セレスティン。貴様、また性懲りもなくカトリーヌをイジメているのか!?」

 またもやタイミング悪く、その現場をウィルモットが目撃してしまった。 
「う、ウィルモット……さま!?」

 驚く2人に関係なく、ウィルモットがズカズカッと、こちらを歩いてくる。そしてカトリーヌから引き剝がされてしまう。

「貴様って奴は、どうしてこんなに陰険で性格が悪いんだ!? こんな顔だけではなく、心まで美しい聖女の頬を殴るなんて」

「……えっ?」

 ウィルモットの発言に衝撃と啞然とするセレスティンだったが、すぐに誤解だと分かる。どうやらカトリーヌを叩いたのはセレスティンだと思い込んでいるようだ。
 セレスティンはカトリーヌのことが嫌いだと思っていて、それこそ嫌がらせをしている張本人だと決めつけている。

「ち、違います。セレスティン様は、そんな人ではありません」

 慌てて止めようとしてくれるカトリーヌ。しかしウィルモットには、その言葉すら響かなかった。

「ああ、なんて優しいんだ。こんな悪女にも庇ってあげるなんて。だが、これを簡単に許すのは良くない。セレスティン。さあ、早くカトリーヌに土下座して謝れ。そうすれば、罰を軽くしてやろう」

「そんな……無茶苦茶な!?」