殺人容疑をかけられた悪役令嬢の真実。

 いわれない濡れ衣を着せられることに、セレスティンは驚く。
 確かに注意はしたが、それは令嬢としてのマナーってだけで、イジメた訳ではない。

「あの……誤解ですわ。私は聖女様に対してイジメなんて」

「噓を言うな。さっきカトリーヌが頭を下げていただろーが!? 聖女に頭を下げさせるなんて、貴様何様だ?」

 必死に言い訳をしようとするが、それが余計に気に入らなかったのか大声を上げる。
 これでは、本当に自分がカトリーヌをイジメているように聞こえてしまう。

「ち、違います。私は、けして聖女様をイジメてなど」

「ああ、見苦しいぞ。謝るならまだしも、言い訳をするなんて。いくらカトリーヌが美しく、純粋だからと言って、貴様みたいな女がやっかみする相手ではない」

 まったくセレスティンの言葉を聞こうとしない。
 ウィルモットにとったら、セレスティンが真実を言おうが、言いまいが、どうでもいいのだろう。カトリーヌさえ守れれば。

「殿下。違います……これは」

「あの女を庇わんなくてもいいぞ、カトリーヌ。君は優しいから、罪を許そうとしているのだろう? 気にする必要はない。この女は悪女なんだから」

「で、殿下!?」

 カトリーヌは慌てて違うと訴えかけようとするが、ウィルモットは逆に庇っていると思い込んでしまっている。

 その後も悪女呼ばわりして騒ぐために、招待客の令嬢たちだけではなく、メイドや騎士までもが白い目を向けてくるように。
 あっという間に『聖女をイジメる悪役令嬢』という汚名まで着せられてしまう。
 その噂は国中にまで出回ってしまうのだった。