殺人容疑をかけられた悪役令嬢の真実。

「聖女様。令嬢が走るのはいかがなものかと」

「あ、ごめんなさい。つい癖で……私、兄弟が多かったもので。よくお世話をして、弟たちを追いかけて走っていたから」

「まぁ、そんなことでは……」

 兄弟が多いのも驚かされるが、平民のカトリーヌにとったら日常のことなのかもしれない。セレスティンは、何かを言いかけたが、グッと我慢をする。
 自分が言いたいのは、そういうことではないと思ったからだ。

「それよりも、私に何か用ですか? お茶会の主催者であるあなたが、席を立つなんて普通ありえないことですわ」

 どうしてか自分の言い方に棘があった。本来もっとやんわりと言うものだ。
 なのに胸がギュッと締め付けられて、上手く言葉が出てこない。心臓の鼓動もバクバクと速く、手が小刻みに震えてしまう。
 まるでカトリーヌに恐怖を感じているように。すると、カトリーヌは慌てて頭を下げて謝罪をしてきた。

「あ、あの……ごめんなさい。私、知らなくて」

「……えっ?」

「その……セレスティン様が……殿下の」

 カトリーヌが何かを言いかけた、その時だった。

「おい、カトリーヌに何をしているんだ!?」

 そう言って大声で叫んできたのはウィルモットだった。
「えっ?」

 ウィルモットは、慌ててこちらに来ると、ギュッとカトリーヌを抱き締めながらセレスティンを怒鳴ってくる。鋭い目つきでギロッとセレスティンを睨みつけてきた。

「貴様、いくら聖女のカトリーヌが憎いからと言って彼女をイジメるとは、どういうことだ!?」

「イジメる? 私が聖女様を……ですか?」