殺人容疑をかけられた悪役令嬢の真実。

「ああ、分かっている。君がそんなことをする人ではないことぐらいは」
「何を分かっているんですか? 私のことなんて何も分かってもくれないのに。エリアス様だって……メリッサ様と仲がいいではありませんか?」

 エリアスの言葉にカチンときたのか、アシュリーは初めて彼に盾突く。いつもは飲む込んでしまう彼女だったが、今回はどうしても我慢が出来なかったようだ。
 半分は自棄になっていたからかもしれないが。だが、本音を話す、いい機会だ。
 アシュリーは、これとばかりに本音をぶつけていく。

「本当は、ずっと辛かったんです。メリッサ様が好きなエリアス様を見るのが。嫉妬する自分が嫌いで……悲しかった」

 目尻に涙を溜めながら正直に言葉にすると、エリアスはハッとした表情をする。
 そして、メリッサの方を見る。メリッサは驚いた表情を一瞬するが、何かを決心したのかコクリと頷いた。

「……違うの。全部誤解なの。だって……私は男だから」

 その衝撃的な言葉にエリアス以外の全員は驚きを隠せなかった。まさか男性だと言うとは誰も思わなかったが。

「えっ? どういうことですか!?」

 セレスティンが最初に言葉にすると、メリッサはギュッとドレスの裾の握り締める。

「……噓ではありません。私の性別は男なんです。私が産まれる前に、幼い姉を亡くしました。とても可愛がっていた娘を亡くした母は悲しみ、心の病気に。そのせいで、後から産まれた私を娘だと思い込んで……女性として育てられました。この胸も魔法のペンダントで大きくみせているだけです」

 悲しそうな表情をするメリッサを見ると、話は本当のようだ。

「そんなことが……」

「でも誤解だけはしないで下さい。たしかに女性として育てられましたが、まったく苦ではありませんでした。私自身も可愛いドレスとか刺繡とか好きで、自分を女性だと思っています。ですが、世間の目はそうはいきません。家族はずっと娘だと言ってきましたし、今さら変えられない。エリアスとオスカーはそれを知って黙っていてくれました」