殺人容疑をかけられた悪役令嬢の真実。

 そう言って名乗り出てくれたのは幼い頃からセレスティンの世話をしている専属侍女のハンナだった。
 ハンナは、唯一侍女の中でもセレスティンを慕い、傍にいてくれた。

「いや、今はセレスティンに命令しているんだ。いいから、行ってこい。まったく、それぐらいの融通が利かないのか?」

「は、はい」

 理不尽だと思ったが、皇太子の命令は絶対だ。渋々セレスティンは取りに行く。
 しかし去り際にウィルモットはカトリーヌに、

「いや~まったく役の立たない婚約者で、すまない。少しでも聖女である君のように、国の役に立てばいいのだが、ただ傲慢で威張り散らしているだけでさ。俺も気苦労が絶えないよ」

 と、まるでセレスティン自身に問題があるかのように言ってくる。

(そんな……私はウィルモット様のためと思って、行動しているのに)

 いわれのない悪口にセレスティンの心は深く傷つく。
 悲しみのあまり、早々とその場を後にする。ウィルモットの部屋まで時間がかかる。
 階段の上り下りだけだって大変なのに、セレスティンに取りに行かせた理由は1つしかない。ただセレスティンが邪魔だったのだろう。
 婚約者が傍にいてはカトリーヌと、いちゃつけない。だから、なかなか帰って来られないようにしたかったのだろう。

(そこまでして……聖女様と一緒にいたいの?)

 ウィルモットにとったら可愛くない婚約者よりも、純粋で可憐なカトリーヌの方が魅力的だとしても、これはあんまりだ。
 溢れてくる涙を拭きながらウィルモットの部屋からプレゼントを取ってきた。箱の中身はピンクダイヤモンドの宝石がついたネックレスだった。
 国の中でも貴重で高価とされている宝石。皇族や身分の高い貴族ではないと、なかなか手にすることが出来ない品物だ。