殺人容疑をかけられた悪役令嬢の真実。

 モジモジと下ばかり見て緊張しているようで、耳まで真っ赤だった。

「気を使わなくても大丈夫よ。それよりも落ち込んでいるようだったけど、悩みでもあるの?」

「い、いえ……そんなことは」

 焦っているようで図星だろう。余計にモジモジしてくる彼女にクスッと笑う。
 こういうところもで自分に似ている。

「分かるわ~私もそうだったから」

「えっ? セレスティン様……も?」

「えぇ、よくこういう場所で落ち込んだものよ? 私も立ち振る舞いとか下手だったから、よく前皇后陛下に怒られたもの。元の婚約者とか本当……最悪で。何度泣いたか分からないわね」

 興味を示して驚くアシュリーに、セレスティンは思い出しながら笑う。
 自分の場合は、元婚約者の愚行の方が凄かったが。聖女・カトリーヌのことを考えると未だに悲しく複雑な感情ではある。

「悲しいことがあった場合は誰かに話すと、少しはスッキリするわよ? 私がそうだったから。愚痴なら、いくらでも私が聞いてあげられるし」

「ですが……ご迷惑にはなりませんか?」

「そんなことはないわよ。嫌なことを嫌だと言うのは、勇気がいることだけど大切なことよ。それは誰もが持っている権利だと、私の親友が教えてくれたもの」

 そう……カトリーヌが教えてくれたこと。
 セレスティンもその言葉に随分と救われた。愚痴をこぼすことは、はしたないことだと言われ続けていたが、カトリーヌのお陰で少しでも楽になれた。
 その言葉はアシュリーにも響いたみたいで、少しずつだが口が開き始めた。
 本当は王妃になるのには不安なこと。家族には期待されるが、それがプレッシャーになり、余計に自分に自信がないと言い出せないこと。