殺人容疑をかけられた悪役令嬢の真実。

「……ウィルモット……さま」

 セレスティンは苦しそうに彼の名を呼んだが、届くはずもなかった。
 その後もセレスティンは、ウィルモットからダンスを申し込まれることは一度もないままパーティーが終了してしまう。
 今まで嫌々でも踊ってくれたのに、存在すら忘れられてしまったかのように。
 胸が押し潰されそうになる。
 チラッと皇后の顔を見るとギロッとセレスティンを睨んでいた。そうなったのもセレスティンのせいだと言いた気に。
 皇后は二人の関係制にあまり好感を持っていない様子。
 セレスティンは恐怖と悲しさで、ひたすら下を向くことしか出来なかった。涙をグッと奥に引っ込めながら。

 しかしウィルモットは、その後も聖女・カトリーヌにべったりだった。
 平民の彼女は皇宮や貴族のしきたりや、場所を知らない。そのために、買って出る。
 一緒に道案内をしたり、時に相談や話し相手にもなってあげていた。
 最初は皇太子だからと遠慮をしていたカトリーヌだったが、熱心で優しく接してくれる彼に少しずつ心を開いていき、彼に微笑みを向けるようになる。

 それだけではない。宰相の息子で侯爵家の長男。トリスタン・オルコットもカトリーヌの虜になっているみたいで、よく見かけるように。
 三人で散歩をしたり、お茶をする姿などを見かけたが、誰もそれに対して何も言わない。微笑ましい光景だと言っている者もいたぐらいだ。

(たしか……トリスタン様にも婚約者がいたはずでは?)

 だが余計なことを言うと、彼らを怒らしてしまうのは分かっていた。
 その気持ちを一度も自分に向けられたことがないし、仲間に入れてもくれない。

(本来は……あの場所は私がなるはずだったのに)