「青倉くん、心配しなくても大丈夫だ!春瀬は、君にやるから。」
杉井課長はそう言うと、豚串を食べ始めた。
「ちょっと、"やる"って、何の権限があって言ってるわけ?しかも、わたし物じゃないんですけど。」
「もうずっと仕事ばっかりで彼氏いないだから、いいじゃん。2人お似合いだよ?」
杉井課長にそんなことを言われ、わたしと青倉くんは顔を見合わせ照れ笑いをした。
杉井課長はおしぼりを手に取ると、マイク代わりに青倉くんに向け、「青倉くんは、春瀬のどこが好きになったんですか?」と訊き始めた。
青倉くんは「えっ?!」と戸惑い、照れながらも「、、、全部です。」と言った。
「全部!いただきましたー!」
「ちょっと恥ずかしいから、やめてよぉ。」
わたしはそう言い、レモンサワーに口をつけた。
「全部好きってのは、テキトーに言ったわけじゃないですよ?仕事に真剣な姿も、優しいところも、思いやりがあるところも、おにぎりを頬張る姿も、部屋着姿も、笑顔も、、、全部好きです。」
そう言い、恥ずかしそうに微笑む青倉くんは、鶏串を1本手に取り、一口頬張った。
「さぁ、惚気を聞いたところで、俺はお邪魔なようなので、退散しますね!」
杉井課長はそう言うと、立ち上がり伝票を手に取った。
「えっ?!もう帰るの?」
わたしがそう言うと、杉井課長は「あとは、お2人さんでどうぞ!」と言い、会計を済ませて帰ってしまった。
残されたわたしと青倉くんは顔を見合わせると、「どうしようね。」と苦笑いを浮かべた。



