わたしは自分の班の前まで行くと足を止め、班のみんなに向け「今日から休職に入ります。皆さんには、ご迷惑をおかけすることになり、本当に申し訳ありません。」と言った。
すると、深田さんがこの時ばかりにと「春瀬課長、泣き腫らした顔で出社して、か弱いアピールですか?課長も一応、女の子だったんですね!」と嫌味を言ってきた。
村田さんも「課長が居なくても、何の問題もありませんよ?仕事がやりやすいくらいです!」と言ってきて、黒田さんは「村田さん、本当のこと言ったら課長が傷ついちゃいますよ〜。」と笑って言った。
そんな田んぼ三姉妹の言葉に青倉くんがイライラしているのが分かったが、青倉くんは今は余計なことを言わないように我慢していた。
「ゆっくり休んでください。」
そう言ってくれたのは見浦さん。
わたしは、嫌味のあとの優しい言葉に涙を堪えながら、「ありがとうございます。」と言った。
「春瀬課長。ゆっくり休んでください。俺と見浦さんで頑張りますから。」
そう言う青倉の横で見浦さんは頷いた。
「ありがとう、青倉くん。」
わたしは班のみんなに一礼すると、会社を出ようとした。
すると、後ろから「春瀬。」と呼ぶ声が聞こえた。
その声でわたしは杉井課長だと気付く。
わたしが振り返ると、杉井課長は「ゆっくり休んで来い。こっちは、俺が何とかするから。」と言ってくれた。
「ありがとう、、、ごめんね、迷惑かけて。」
「今まで散々迷惑かけられてきたんだから、田んぼ三姉妹には迷惑かければいいんだよ。」
杉井課長は小声でそう言うと、わたしの肩をポンッと叩き、「気を付けて帰れよ。」と言ってくれた。
わたしは頷くと、「じゃあ、よろしくお願いします。」と杉井課長に頭を下げ、退社したのだった。



