青い月は、春を待つ。


休憩時間が終わり、午後になると、わたしはある異変に気付いた。

いつもはお喋りしている田んぼ三姉妹が真面目に仕事をしているのだ。

えっ?何があったの?

不思議に思いながらもわたしは自分の仕事を進めていった。

無駄な仕事がなかった為、売上の計算や今後の計画書を作ることが出来、今日は何とか定時に帰れそうだ。

そして、定時になると深田さんがご機嫌な様子で椅子から立ち上がり、杉井課長のところへ行った。

「杉井課長!ちゃんと仕事終わらせましたよ〜!」
「やれば出来るんじゃん。」
「約束通り、今日飲みに連れて行ってくださいね!」
「分かってるよ。」

喜びの声を上げ、帰り支度をする田んぼ三姉妹。

きっと、わたしが残業にならないように杉井課長が深田さんたちに角が立たないような言い方をしてくれたんだろうな。

わたしはふと杉井課長の方を向いた。

すると、杉井課長は親指を立て、ドヤ顔をしていた。

「ありがとう。」

わたしが小声で言うと、杉井課長は「今日は残業しないですぐ帰れよ。」と言い、「杉井課長!早くぅ〜!」と急かす田んぼ三姉妹と共に退社して行った。

仕事を残さず帰って行った田んぼ三姉妹を見て、青倉くんが「今日はどうしたんですかね。」と驚いていた。

「杉井課長のおかげだね。感謝だなぁ。じゃあ、わたしたちも帰ろっか。」

わたしがそう言うと、「春瀬課長が残業なし何て久しぶりですね!」と青倉くんは言い、続けて「たまには早く帰って休んでくださいね。」と言ってくれたのだった。