そして、仕事をしていると突然心臓がドキドキして胸が苦しくなった。
動悸というやつだろうか。
動悸のせいで息苦しくなり、わたしは胸辺りを擦った。
何だろう。
今日は何か調子が悪いなぁ。
そう思いながらも仕事を進めていく。
休憩時間になると、今日はきちんと休憩を取ると決めていたので食堂へ向かった。
しかし、食欲がなく、ガヤガヤした食堂の雰囲気も落ち着かず、結局わたしは給湯室に向かったのだった。
給湯室に行くと、いつもなら必ずエスプレッソマシーンで珈琲を淹れるところだが、珈琲すら飲む気になれなかった。
今日のわたし、何かおかしい。
そう思いつつ、給湯室の椅子に座り、ぼんやりと外を眺めていた。
しばらくすると、給湯室に杉井課長がやって来た。
「今日はちゃんと休憩取ったか?」
そう言ったあと、杉井課長はわたしがいつも飲んでいるはずの珈琲を手に持っていないことに気付く。
「あれ?珈琲は?」
「何か飲む気になれなくて。」
「何か食べた?」
「食欲もないんだよね。」
「大丈夫かよ。今日の春瀬、何かおかしいぞ?」
「やっぱり?自分でもそう思う。」
わたしの言葉に杉井課長は、「何か表情も暗いし、体調悪いなら早退して病院行ってきたら?」と言った。
「そんなわけにいかないよ。また田んぼ三姉妹が仕事残すだろうし。大丈夫、何とか乗り切るから。」
わたしがそう言うと、「無理すんなよ?」と杉井課長は心配そうに言ってくれた。



