寿羽side
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次の日、蒼空くんの告白で頭がいっぱいだった
どうしていいのかわからない
だって、蒼空くんのことは幼なじみだと思ってて……
わかんない
「わからない……って、逃げてきちゃったな」
「どーしたの、何から逃げて来たの」
どうやら口に出てしまっていたらしい。
顔を上げるとゆなちゃんが首を傾げていた。
「ゆなちゃん…」
そうそう、聞きたいことがあるんだけど、という前置きが入った。
「寿羽さ、好きな人いる?」
「す、好きな人?」
唐突な質問で動揺してしまう
「いない、かな……」
ふーん、とゆなちゃんは続ける。
「じゃあさ、好きな人にはどんな気持ちを抱くの?」
ゆなちゃん急にどうしたんだろう。
でも質問してくれたからには何かを答えたい。
「どんなって……んー
ずっと一緒にいたい、かな」
なるほどね。とにっこり笑顔のゆなちゃん。
「最後の質問ね。寿羽と榊ってずっと一緒にいるよね?」
「う、うん…でも、それは「それは、幼なじみだから?本当にそれだけ?」」
胸がドキリとした。
本当にそれだけ……?
「わからないの…ずっと幼なじみだから一緒にいるのが当たり前で」
言葉に詰まる私にゆなちゃんは
ここからは、私の独り言ね。と続ける。
「榊ってさ、実際結構モテる方だと思うの。でもね、今まで彼女ができたのを見たことがない。
それでね、寿羽といる時間を大切に思ってる。それは、寿羽が言うところの“ずっと一緒にいたいと想っている相手”が寿羽だってことだと思う。
寿羽が今すぐに榊への恋愛感情の有無を自覚しないといけないなんて思わないけど、
伝えてくれようとする彼の気持ちには真剣に向き合うべき」
本当にその通りだと思った。
ゆなちゃんも、まなちゃんも、何かあった時いつも私を支えてくれる。
友達だとしても、言い難いことだってある。
でもそれを2人は迷うことなく言葉に変えて伝えてくれる。
「そうだよね…私、蒼空くんとちゃんと話してみる!」
それらを受け取ってきた私にできることは、たくさんあるはず。
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HRが終わってすぐ、蒼空くんのクラスへ走った。
「あの、そ…榊くんいますかっ」
教室に来たものの蒼空くんの姿が見えないので、近くにいた子に聞いた。
「あー、榊なら数学の先生に雑用頼まれて、第2準備室に行ったよ。さっき行ったとこだから戻ってくるまでちょっと時間かかるかも」
「わかりました。ありがとうございます」
待っててもいいかもしれないけど、とりあえず会いたいと思うと、第2準備室に向かって走り出していた。
第2準備室が見えてきたところで、ドアが開き中から人が出てきた。
「蒼空くん…!」
まさかここにいるとは思わなかったのだろう。彼は驚いていた。
「寿羽?」
困惑している蒼空くんの目を見た。
「あのね、話したいことがあるの」
「…俺も、ちゃんと話したいと思ってた」
聞いてほしい、というと蒼空くんは頷いた。
「私、蒼空くんのこと、ずっと幼なじみだと思ってた。
私にとっての大切で、
いつも助けてくれるヒーローみたいな存在で、
家族みたいなお兄ちゃんみたいな……
でも、こんなにもお世話してもらってるから、蒼空くんにめんどくさいやつって思われたらどうしようって
ずっと思ってた。
早く私から解放してあげないとって思ってた。
私ね。恋をしたことがないの。だから、蒼空くんのことをどう想っているのかがわからない……」
蒼空くんとはずっと、この先も幼なじみでいたいと思っていた。
「でもね、」
最近になって気づいたことがある
「蒼空くんが他の人を大切にするのはなんだか嫌だなって思った。
私だけがいいなって……」
これが『恋』と呼べるものなのかは不明だけど
曖昧なままだけど
それでもいいのなら、と
「ずっと、私だけを見ていてほしい」
顔に熱が集まってくるのが分かる。
恥ずかしくて下を向こうとした時、
両手が大きくて温かい手に包まれた。
上げた目線に、蒼空くんの瞳が映る。
「俺はもう、ずっと前から寿羽のことしか見てない」
私の手を握っている蒼空くんの手に力が入っていく。
ずっと、
「幼なじみなんか辞めてやりたいと思ってた」
やっぱり幼なじみは嫌だった…?
ネガティブな思考が膨らむ前に
「え、それってどういう……」
「まだ伝わらない?俺もう限界なんだけど」
蒼空くんの顔が近づいてくる。
「近いよ蒼空くん……」
もう、待たないから。
「寿羽、俺の彼女になって」
それから、と彼は続ける。
「幼なじみで、妹みたいな家族みたいな存在で、この先もずっと一緒にいられる理由をちょうだい。
俺の彼女だからって、守らせてほしい」
頬が濡れていく、視界がぼやけていく。
そっか。私、蒼空くんとずっと一緒にいたいから幼なじみにこだわってたんだ。
「私なんかでよければ、お願いします」
彼の手が伸びてきて、頬が優しく拭われる。
「寿羽じゃないと意味ないよ」
蒼空くんの優しい瞳に見つめられる。
ゆっくりと、抱きしめられた。
「俺が好きなのは、大切なのは寿羽だけ」
蒼空くんの気持ちが、早くなる鼓動が伝わってくる。
ぎゅっと、抱きしめ返した。
「私も、蒼空くんが大切……大好きだよ」
表情は見えないけど、すぐ横の耳が色を変えていく
「ふふ。蒼空くん、耳が赤いね」
「ああもう言わないで」
Fin.
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次の日、蒼空くんの告白で頭がいっぱいだった
どうしていいのかわからない
だって、蒼空くんのことは幼なじみだと思ってて……
わかんない
「わからない……って、逃げてきちゃったな」
「どーしたの、何から逃げて来たの」
どうやら口に出てしまっていたらしい。
顔を上げるとゆなちゃんが首を傾げていた。
「ゆなちゃん…」
そうそう、聞きたいことがあるんだけど、という前置きが入った。
「寿羽さ、好きな人いる?」
「す、好きな人?」
唐突な質問で動揺してしまう
「いない、かな……」
ふーん、とゆなちゃんは続ける。
「じゃあさ、好きな人にはどんな気持ちを抱くの?」
ゆなちゃん急にどうしたんだろう。
でも質問してくれたからには何かを答えたい。
「どんなって……んー
ずっと一緒にいたい、かな」
なるほどね。とにっこり笑顔のゆなちゃん。
「最後の質問ね。寿羽と榊ってずっと一緒にいるよね?」
「う、うん…でも、それは「それは、幼なじみだから?本当にそれだけ?」」
胸がドキリとした。
本当にそれだけ……?
「わからないの…ずっと幼なじみだから一緒にいるのが当たり前で」
言葉に詰まる私にゆなちゃんは
ここからは、私の独り言ね。と続ける。
「榊ってさ、実際結構モテる方だと思うの。でもね、今まで彼女ができたのを見たことがない。
それでね、寿羽といる時間を大切に思ってる。それは、寿羽が言うところの“ずっと一緒にいたいと想っている相手”が寿羽だってことだと思う。
寿羽が今すぐに榊への恋愛感情の有無を自覚しないといけないなんて思わないけど、
伝えてくれようとする彼の気持ちには真剣に向き合うべき」
本当にその通りだと思った。
ゆなちゃんも、まなちゃんも、何かあった時いつも私を支えてくれる。
友達だとしても、言い難いことだってある。
でもそれを2人は迷うことなく言葉に変えて伝えてくれる。
「そうだよね…私、蒼空くんとちゃんと話してみる!」
それらを受け取ってきた私にできることは、たくさんあるはず。
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HRが終わってすぐ、蒼空くんのクラスへ走った。
「あの、そ…榊くんいますかっ」
教室に来たものの蒼空くんの姿が見えないので、近くにいた子に聞いた。
「あー、榊なら数学の先生に雑用頼まれて、第2準備室に行ったよ。さっき行ったとこだから戻ってくるまでちょっと時間かかるかも」
「わかりました。ありがとうございます」
待っててもいいかもしれないけど、とりあえず会いたいと思うと、第2準備室に向かって走り出していた。
第2準備室が見えてきたところで、ドアが開き中から人が出てきた。
「蒼空くん…!」
まさかここにいるとは思わなかったのだろう。彼は驚いていた。
「寿羽?」
困惑している蒼空くんの目を見た。
「あのね、話したいことがあるの」
「…俺も、ちゃんと話したいと思ってた」
聞いてほしい、というと蒼空くんは頷いた。
「私、蒼空くんのこと、ずっと幼なじみだと思ってた。
私にとっての大切で、
いつも助けてくれるヒーローみたいな存在で、
家族みたいなお兄ちゃんみたいな……
でも、こんなにもお世話してもらってるから、蒼空くんにめんどくさいやつって思われたらどうしようって
ずっと思ってた。
早く私から解放してあげないとって思ってた。
私ね。恋をしたことがないの。だから、蒼空くんのことをどう想っているのかがわからない……」
蒼空くんとはずっと、この先も幼なじみでいたいと思っていた。
「でもね、」
最近になって気づいたことがある
「蒼空くんが他の人を大切にするのはなんだか嫌だなって思った。
私だけがいいなって……」
これが『恋』と呼べるものなのかは不明だけど
曖昧なままだけど
それでもいいのなら、と
「ずっと、私だけを見ていてほしい」
顔に熱が集まってくるのが分かる。
恥ずかしくて下を向こうとした時、
両手が大きくて温かい手に包まれた。
上げた目線に、蒼空くんの瞳が映る。
「俺はもう、ずっと前から寿羽のことしか見てない」
私の手を握っている蒼空くんの手に力が入っていく。
ずっと、
「幼なじみなんか辞めてやりたいと思ってた」
やっぱり幼なじみは嫌だった…?
ネガティブな思考が膨らむ前に
「え、それってどういう……」
「まだ伝わらない?俺もう限界なんだけど」
蒼空くんの顔が近づいてくる。
「近いよ蒼空くん……」
もう、待たないから。
「寿羽、俺の彼女になって」
それから、と彼は続ける。
「幼なじみで、妹みたいな家族みたいな存在で、この先もずっと一緒にいられる理由をちょうだい。
俺の彼女だからって、守らせてほしい」
頬が濡れていく、視界がぼやけていく。
そっか。私、蒼空くんとずっと一緒にいたいから幼なじみにこだわってたんだ。
「私なんかでよければ、お願いします」
彼の手が伸びてきて、頬が優しく拭われる。
「寿羽じゃないと意味ないよ」
蒼空くんの優しい瞳に見つめられる。
ゆっくりと、抱きしめられた。
「俺が好きなのは、大切なのは寿羽だけ」
蒼空くんの気持ちが、早くなる鼓動が伝わってくる。
ぎゅっと、抱きしめ返した。
「私も、蒼空くんが大切……大好きだよ」
表情は見えないけど、すぐ横の耳が色を変えていく
「ふふ。蒼空くん、耳が赤いね」
「ああもう言わないで」
Fin.
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