寿羽side
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最近は、まなちゃんとゆなちゃんが一緒に帰ってくれている。
相変わらず蒼空くんとは仲直りができないままで…
というか、なぜこうなってしまったのかわからない
もう、前みたいには戻れないのかな……
私が落ち込んでいるせいで
まなちゃんとゆなちゃんがずっと気にかけてくれている。
ずっとこのままでいるわけにはいかないし、早くなんとかしないと。
「まなちゃん、ゆなちゃん」
決めた。
「どした」
ん?
2人ともなんだか、嬉しそうな顔をしている気がするのですが
「え、2人ともどうしたの」
何か嬉しいことでもあったの、と聞くと
いいえ、とゆなちゃん
何も、とまなちゃん
「で、寿羽はどうしたの」
まなちゃんが優しく促してくれる
「蒼空くんと、話してくる」
2人は何も聞かずに頷いてくれた。
昼休みになってすぐ、蒼空くんのもとへ向かおうと教室を出た。
廊下に出てすぐのところで呼び止められた。
「寿羽ちゃん、ちょっと時間ある?」
「倉本くん、ごめんね。用事が、っ」
え!というと同時に景色が変わった。
バタンッ!
突然腕を引かれて隣の空き教室に入れらたみたい
「……倉本くん?」
さすがの私でも、これは警戒心が高まる。
最近の倉本くんの距離は近い。
近すぎる。
「ち、ちか、い……」
どんどん倉本くんの顔が近寄ってくる。
ドアと倉本くんに挟まれて逃げられない。
ドアが開けられるような角度ではないし、どうしよう。
これじゃあ、前の時と同じだ……
「そろそろかな」
静かにしていた倉本くんがつぶやいた。
とその時、
ガラガラッ!
背中のドアが勢いよく開いた。
背もたれが急に消えたので後ろに倒れかけた
が、
誰かの腕に受け止められた
「何してんの」
頭の上から大好きな声が降ってきた。
「蒼空くん」
あの時…旧図書館での出来事の時のように、後ろから抱きしめられているような状況。
蒼空くんの腕に力が入っていく。
「お前、話が違うじゃ「俺、振られたから。次は、お前の番な」」
倉本くんは、蒼空くんの言葉を遮って教室から出ていった。
私には何の話だかさっぱりわからない
「………」
沈黙が気まずくて、何か話さなくてはと思うのに何も思いつかない
そもそも久しぶりだし…
元気?はおかしいか
今日の体育どうだった?は関係なさすぎる?
無難にそろそろ帰ろうとかでいいかな、
そう思いながら口を開いた。
「蒼空く「好きだ」」
え、今なんて……
「え……?」
後ろにいる蒼空くんの表情がわからない
腕が解かれていく…後ろを振り返って、
目が合う。
「寿羽のことが好きだ」
今度ははっきりと聞こえた。
蒼空くんが私のことをすき…?
「幼なじみとしての好きじゃなくて、一人の女の子として好きだ。寿羽のことが誰よりも大事なんだ。俺が寿羽を幸せにしたい。
……だから、俺と付き合ってほしい」
頭が真っ白になっていく
蒼空くんが私を好き?
「そんなの……」
「寿羽?」
「わかんない……わかんないよ」
声になっていたのかどうかすらも自信がない。
気づけば身体が動いていて
蒼空くんの隣を抜けて、教室を出た。
無意識に最寄りの駅まで走っていた。
頭は真っ白なはずなのに、何も考えられないはずなのに
蒼空くんの言葉が何度も頭の中をぐるぐるする
『幼なじみとしての好きじゃなくて、一人の女の子として好きだ。寿羽のことが誰よりも大事なんだ。俺が寿羽を幸せにしたい。
……だから、俺と付き合ってほしい』
そんなこと、急に言われても…わからない。
蒼空くんがわからないよ
蒼空side
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
俺……振られた、んだよな?
残された空き教室が急に冷えた気がした。
とりあえず帰ろうと思うのに、身体は鉛が付いたかのように重たい
『そんなの……
わかんない……わかんないよ』
寿羽の困惑した今にも泣きそうな表情が脳裏に焼き付いて離れない
諦めるしかないのか。
でも俺にはもう寿羽以外は有り得ない
「よーっ蒼空!」
次の日の朝、通学するのがやっとだった
「……」
陽斗の何気ない元気さが有難かったが、何も反応する気力すらない
「お前、最近元気ないと思ってたけど、今日は特に顔色やばいぞ。早退するか?」
「いや……」
「なにお前、片桐ちゃんと何かあったわけ?最近なんなの、一緒にいるところ全然見なくなったけど」
「まあうん……」
一緒にいないどころじゃない
振られた、その事実が何度も俺の心を潰していく
「あ、センセーこいつちょっと体調わりいみたいなんで、俺保健室まで連れて行きます」
そうなのか、榊お大事にな。中島頼んだありがとうなーと言われている
「いや俺、全然元気なんだけど」
「は?どこが元気なわけ?ちょっとツラ貸せ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「で、なんでお前まで早退してるわけ?」
隣を歩く陽斗は機嫌が良さそうだ
「まあサボりたかったし?」
何よりも…と続ける
「お前を連れ出せるの、俺しかいないっしょ」
それはその通りだと思う…素直にありがとうと思った
「うん」
言わないけど。
「で、話したくないならいいけどさ。俺言ったよな、応援するって」
知っている。俺が寿羽と結ばれるようにってずっと思ってくれていたことはわかっている。
だからこそ言いにくかった。
「うん……
……振られたんだ」
もう、幼なじみにすら戻れないかもしれない
そう思っている。
「…それ、お前が「付き合ってほしい」って言った片桐ちゃんの返事が「ごめんなさい」だったってことか?」
「え」
「片桐ちゃんは、付き合えないってはっきり答えたのかって聞いてんだけど」
「それは…ちがう、けど」
長いため息が聞こえてくる。
「何があったのか知らないから、想像でしゃべるけど
お前らさ、言葉足らずなんじゃないの?あと、相手の気持ちを推し量りすぎている。憶測じゃなくて、事実が大事なんだって」
いつも陽気な陽斗がいつになく真剣に話している。
我ながら失礼だけど
「事実……。寿羽は、「わからない」って言ってた」
「その「わからない」の意味、知るべきなんじゃないの」
気持ちって意思を持って表に出さないと見えない
それが欠けてると、勝手に補おうとする
でもその補ったものが事実とはズレていたら……?
それは、伝わっていないのと同じことだと。
分かり合えていない状態から何一つ変わらないと。
「そう、だよな……
俺、もう一度伝えてみる…だけじゃなくて、寿羽の気持ち、ちゃんと聞いてみる」
聞きながら陽斗は、満足そうに頷く
「おう」
お互いにそれ以上は何も言わない。
じゃあなっていう陽斗の一言で
ホームが違う俺たちは改札で別れた。
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最近は、まなちゃんとゆなちゃんが一緒に帰ってくれている。
相変わらず蒼空くんとは仲直りができないままで…
というか、なぜこうなってしまったのかわからない
もう、前みたいには戻れないのかな……
私が落ち込んでいるせいで
まなちゃんとゆなちゃんがずっと気にかけてくれている。
ずっとこのままでいるわけにはいかないし、早くなんとかしないと。
「まなちゃん、ゆなちゃん」
決めた。
「どした」
ん?
2人ともなんだか、嬉しそうな顔をしている気がするのですが
「え、2人ともどうしたの」
何か嬉しいことでもあったの、と聞くと
いいえ、とゆなちゃん
何も、とまなちゃん
「で、寿羽はどうしたの」
まなちゃんが優しく促してくれる
「蒼空くんと、話してくる」
2人は何も聞かずに頷いてくれた。
昼休みになってすぐ、蒼空くんのもとへ向かおうと教室を出た。
廊下に出てすぐのところで呼び止められた。
「寿羽ちゃん、ちょっと時間ある?」
「倉本くん、ごめんね。用事が、っ」
え!というと同時に景色が変わった。
バタンッ!
突然腕を引かれて隣の空き教室に入れらたみたい
「……倉本くん?」
さすがの私でも、これは警戒心が高まる。
最近の倉本くんの距離は近い。
近すぎる。
「ち、ちか、い……」
どんどん倉本くんの顔が近寄ってくる。
ドアと倉本くんに挟まれて逃げられない。
ドアが開けられるような角度ではないし、どうしよう。
これじゃあ、前の時と同じだ……
「そろそろかな」
静かにしていた倉本くんがつぶやいた。
とその時、
ガラガラッ!
背中のドアが勢いよく開いた。
背もたれが急に消えたので後ろに倒れかけた
が、
誰かの腕に受け止められた
「何してんの」
頭の上から大好きな声が降ってきた。
「蒼空くん」
あの時…旧図書館での出来事の時のように、後ろから抱きしめられているような状況。
蒼空くんの腕に力が入っていく。
「お前、話が違うじゃ「俺、振られたから。次は、お前の番な」」
倉本くんは、蒼空くんの言葉を遮って教室から出ていった。
私には何の話だかさっぱりわからない
「………」
沈黙が気まずくて、何か話さなくてはと思うのに何も思いつかない
そもそも久しぶりだし…
元気?はおかしいか
今日の体育どうだった?は関係なさすぎる?
無難にそろそろ帰ろうとかでいいかな、
そう思いながら口を開いた。
「蒼空く「好きだ」」
え、今なんて……
「え……?」
後ろにいる蒼空くんの表情がわからない
腕が解かれていく…後ろを振り返って、
目が合う。
「寿羽のことが好きだ」
今度ははっきりと聞こえた。
蒼空くんが私のことをすき…?
「幼なじみとしての好きじゃなくて、一人の女の子として好きだ。寿羽のことが誰よりも大事なんだ。俺が寿羽を幸せにしたい。
……だから、俺と付き合ってほしい」
頭が真っ白になっていく
蒼空くんが私を好き?
「そんなの……」
「寿羽?」
「わかんない……わかんないよ」
声になっていたのかどうかすらも自信がない。
気づけば身体が動いていて
蒼空くんの隣を抜けて、教室を出た。
無意識に最寄りの駅まで走っていた。
頭は真っ白なはずなのに、何も考えられないはずなのに
蒼空くんの言葉が何度も頭の中をぐるぐるする
『幼なじみとしての好きじゃなくて、一人の女の子として好きだ。寿羽のことが誰よりも大事なんだ。俺が寿羽を幸せにしたい。
……だから、俺と付き合ってほしい』
そんなこと、急に言われても…わからない。
蒼空くんがわからないよ
蒼空side
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俺……振られた、んだよな?
残された空き教室が急に冷えた気がした。
とりあえず帰ろうと思うのに、身体は鉛が付いたかのように重たい
『そんなの……
わかんない……わかんないよ』
寿羽の困惑した今にも泣きそうな表情が脳裏に焼き付いて離れない
諦めるしかないのか。
でも俺にはもう寿羽以外は有り得ない
「よーっ蒼空!」
次の日の朝、通学するのがやっとだった
「……」
陽斗の何気ない元気さが有難かったが、何も反応する気力すらない
「お前、最近元気ないと思ってたけど、今日は特に顔色やばいぞ。早退するか?」
「いや……」
「なにお前、片桐ちゃんと何かあったわけ?最近なんなの、一緒にいるところ全然見なくなったけど」
「まあうん……」
一緒にいないどころじゃない
振られた、その事実が何度も俺の心を潰していく
「あ、センセーこいつちょっと体調わりいみたいなんで、俺保健室まで連れて行きます」
そうなのか、榊お大事にな。中島頼んだありがとうなーと言われている
「いや俺、全然元気なんだけど」
「は?どこが元気なわけ?ちょっとツラ貸せ」
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「で、なんでお前まで早退してるわけ?」
隣を歩く陽斗は機嫌が良さそうだ
「まあサボりたかったし?」
何よりも…と続ける
「お前を連れ出せるの、俺しかいないっしょ」
それはその通りだと思う…素直にありがとうと思った
「うん」
言わないけど。
「で、話したくないならいいけどさ。俺言ったよな、応援するって」
知っている。俺が寿羽と結ばれるようにってずっと思ってくれていたことはわかっている。
だからこそ言いにくかった。
「うん……
……振られたんだ」
もう、幼なじみにすら戻れないかもしれない
そう思っている。
「…それ、お前が「付き合ってほしい」って言った片桐ちゃんの返事が「ごめんなさい」だったってことか?」
「え」
「片桐ちゃんは、付き合えないってはっきり答えたのかって聞いてんだけど」
「それは…ちがう、けど」
長いため息が聞こえてくる。
「何があったのか知らないから、想像でしゃべるけど
お前らさ、言葉足らずなんじゃないの?あと、相手の気持ちを推し量りすぎている。憶測じゃなくて、事実が大事なんだって」
いつも陽気な陽斗がいつになく真剣に話している。
我ながら失礼だけど
「事実……。寿羽は、「わからない」って言ってた」
「その「わからない」の意味、知るべきなんじゃないの」
気持ちって意思を持って表に出さないと見えない
それが欠けてると、勝手に補おうとする
でもその補ったものが事実とはズレていたら……?
それは、伝わっていないのと同じことだと。
分かり合えていない状態から何一つ変わらないと。
「そう、だよな……
俺、もう一度伝えてみる…だけじゃなくて、寿羽の気持ち、ちゃんと聞いてみる」
聞きながら陽斗は、満足そうに頷く
「おう」
お互いにそれ以上は何も言わない。
じゃあなっていう陽斗の一言で
ホームが違う俺たちは改札で別れた。
